葬儀相談コラム


第94回 戒名とその値段



お墓参り  ■94-1 戒名とは?
 戒名とは、仏教で出家をする人に戒を授けるときに付ける名という意味から、僧侶が亡くなった人に付ける名のことを指します。戒(いましめ)とは、過ちを犯すことがないように注意する言いつけのことです。仏教の葬式では戒名が必要と考えられています。故人は戒名によって葬られます。戒名に対し、私たちが普段使っている名前のことを俗名と呼んでいます。
 戒名については仏教宗派によりさまざまな解釈があります。天台宗では「授戒は俗界をはなれて仏門に帰入せしめる作法であり、戒名は受戒した仏弟子を表示する永遠の法号である」と説明されています。浄土真宗では授戒をしないため戒名とは言わず法名と呼んでいます。法名は新たに仏道に入った人が本山で儀式(帰敬式)を受けた後に授かる名前で生前に受けることもあります。
 戒名にはランクがあります。「院殿号」が最も高い位で、この戒名を授かるには特権的な階級であるとか、限られた人にしか与えられません。また、戒名は字数が多く長くなるほど立派、という考え方もあります。






■94-2 戒名の値段
 戒名を授かるには、戒名料が必要です。読経料(御布施)とは別ですので、お葬式では僧侶に対し、戒名料と読経料を合わせて支払わなければなりません。ランクの高い戒名ほど、戒名料は高くなるのは言うまでもありません。
 戒名の種類と戒名料の世間相場を紹介しましょう。
男性 女性 戒名料の目安
○○院殿□□□□大居士 ○○院殿□□□□清大姉 100万円以上
○○院殿□□□□居士 ○○院殿□□□□大姉 70万円〜100万円
○○院□□□□居士 ○○院□□□□大姉 50万円〜70万円
□□□□居士 □□□□大姉 20万円〜30万円
□□□□禅定門 □□□□禅定尼
□□□□信士 □□□□信女 10万円〜20万円
□□□□童士 □□□□童女 3万円〜

※童士や童女は、幼くして亡くなった子が授かる戒名のこと。





■94-3 戒名の構造
 戒名は、「院号」「道号」「(狭い意味での)戒名」「位号」の4つの部分で成り立っています。例えば、映画監督として著名だった黒澤明の戒名は「映明院殿紘國慈愛大居士」。最高ランクの院殿号、大居士であることがわかります。「映明院殿」が院殿号、「紘國」が道号、「慈愛」が狭い意味での戒名、「大居士」が位号です。故人の生前の業績を偲んで付けられることが多く、黒澤明の場合は「映明院殿」と名付けられていることがわかります。ちなみに、海軍大将の山本五十六は「大義院殿誠忠長陵大居士」、漫画家の手塚治虫は「伯藝院殿覚圓蟲聖大居士」、政治家の田中角栄は「政覚院殿越山徳栄大居士」、歌手の美空ひばりは「茲唱院美空日和清大姉」。いずれも戒名から生前の活躍が偲ばれます。
 なお、戒名と言わず法名と言う浄土真宗では、院号をもちいず、法名の上に男性なら「釈□□□〜」、女性なら「釈尼□□□〜」と続けます。また、日蓮宗では「日」「法」「妙」、浄土宗では「誉」など、宗派によって戒名によく使われる文字がありますので、戒名をみれば、宗派がわかることもあります。
 なお、仏教界では表向き戒名の存在を認めていません。あくまで遺族が自発的に僧侶に捧げている御布施の一部との見解です。したがって、戒名を生前に本人が付けることも可能です。ただし、宗派や僧侶によっては、宗派の受戒を経ない自作の戒名に基づく読経は受け付けないとする場合があります。後々にトラブルにならないよう、事前に読経をお願いする僧侶に相談してみることをお奨めします。






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