葬儀相談コラム
第87回 施設で亡くなったときのお葬式
■87-1 施設で亡くなったときの葬儀の流れ
亡くなる人の多くは病院または自宅で看取られるそうですが、老人ホームなどの施設で突然亡くなるケースもみられます。施設で臨終となったときには、病院と同じように、亡くなってから短い時間、例えば2時間程度しか遺体を安置しておくことができません。
施設に入居する際は、個室ではなく何人かで同じ部屋を使用することが一般的です。同室に別の入居者がいるときはなおさら、速やかに別の安置所に搬送する必要があります。そこで遺族は、施設から近い葬儀社を紹介され、葬儀社の段取りで葬儀の手配が進んでいきます。
■87-2 老人ホーム葬
一部の老人ホームは、亡くなられた人の親族や施設のスタッフ・関係者で最後のお別れをする老人ホーム葬を行っています。老人ホーム葬は、施設で亡くなったあとも施設内で安置、お通夜、告別式が行われます。仏式では僧侶、会葬者が施設を訪れます。故人としては大切な親族と人生の最期にお世話になった施設の方々に見送られるので、施設内での葬儀を希望する人は少なくないそうです。
一方、別の入居者にとっては「死」という現実を目の当たりにすることから、施設内での葬儀を誰もが歓迎するわけではありません。場合によっては、別の入居者にショックや動揺を与えかねず、施設で葬儀ができる場合でも、葬儀の会場と入居施設を別棟にしてあったり出入口を別にしてあったりなど、さまざまな配慮がなされています。
■87-3 施設での看取
老人ホームを利用する人のなかは、身寄りがいない人であったり親族が遠くに住んでいて頻繁に足を運べなかったりと、事情のある人もいます。そこで、多くの施設では、様態が急変した場合の処置や、万一お亡くなりになったときの看取りについて、入居の時点で承諾書をとることがあります。また、重篤な状態で延命治療を望まれるときは提携している医療機関を紹介して必要な措置を行うよう決めている施設もあります。
亡くなった人に身寄りがなく、生前に簡単な葬儀だけを希望されていたときは、ご遺体の安置から納棺、火葬と通夜・告別式を行わない「火葬式」を行うこともあります。
■87-4 葬儀から納骨まで行える施設もある
身寄りのない人を受け入れる施設では、生前の取り決めで、亡くなった後の葬儀の手配、遺族への連絡、行政手続き、家財等の処分を行ってくれるところもあります。葬儀では、葬儀一式の準備・執行、喪主の代行、納骨の支援を行います。納骨する墓地を持たない入居者向けには、永代供養墓を用意してある施設もあります。ほとんどが有料の契約になりますが、施設で葬儀が行えたり納骨まで無事に面倒を看てもらえたりするのは、心安らかに終末期を迎えるためにたいへんありがたいサービスです。老人ホームを検討する際には、ぜひ、葬儀・納骨までをしっかりと考慮しておきたいものです。
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