葬儀相談コラム


第76回 リビング葬



リビング葬  ■76-1 お通夜の儀式

 仏教におけるお通夜とは、ご遺体を囲んで故人の現世における思い出を親しい人たちの間で語り合う儀式のことでした。これが、遺族が一晩中寝ずにご遺体を取り囲んで守るという習慣につながっています。一晩中起きているというのは、香を焚き続けるといった実体的な意味もありました。今日でも、お通夜の晩にご遺体を取り囲んで一夜を送るということが多くみられます。
 以前は自宅でお通夜を行って、葬儀・告別式は葬儀場で行うというのが一般的でしたが、近年は住宅事情も相まって、お通夜から葬儀・告別式まで、葬儀場でとり行うケースが多くなりました。つまり、お通夜の晩は葬儀場ということになりました。お通夜の晩に葬儀場の畳敷きの仮眠室に寝泊まりした経験のある人もいらっしゃるのではないでしょうか。
 ところで、現世最後の晩は住み慣れた自宅で過ごさせたいというのも、ご遺族の心情です。そうしたことから、お通夜を自宅でという儀式があらためて見直されています。
 そうはいっても、大勢の親族を自宅に招くことや寝泊まりができないケースがあります。そこでいま、注目を集めているのがリビング葬です。





■76-2 リビング葬とは?

 リビング葬とは、お通夜から葬儀・告別式まで、葬儀場内に作られたリビング風のスペースで行われるお葬式のことです。葬儀場によってさまざまですが、リビング葬専用の施設としては、リビングルームをはじめ、和室、洋室、祭壇、休憩所、応接室、ホール、トイレ、バスルーム、洗面所、ロビー、事務室、応接室、トイレ(車椅子用トイレ)、コインロッカーなどがあって、まるで自宅で葬儀を行うようなスペースになっている点が特徴です。中には、ペットルームを設置している施設もあります。
 近年、親族などの近親者や親しい友人だけで執り行う家族葬が一般的になりましたが、リビング葬は家族葬の一種と言ってよいでしょう。リビング葬は、靴を脱いでリビングルームやその他施設を自宅にいるかのように使用できますので、くつろいだ空間で故人と心ゆくまでお別れができるというメリットがあります。また、お葬式は一連の不慣れな儀式が続くため喪主をはじめ参列者の心労も小さくありません。リビング葬ではリラックスできるため、そのような心労も軽減されると期待されています。また、ご遺族をはじめ多人数が宿泊できる設備も整えており、食事も提供できる用意が整っています。施設によってはキッチン設備が併設されていて、施設内で手料理を作ることも可能です。リビング葬は、首都圏の葬儀事業者がはじめて以来、全国各地に広がっています。




■76-3 リビング葬の費用

 お通夜から葬儀・告別式まで、自宅のようなリビングルームを借りられるのがリビング葬ですが、費用は当然ながら通常のお葬式より費用がかかります。施設内容により大きく異なりますが、式場利用料のほか宿泊料金を数万円以上支払わなければならないようです。また、リビング利用のほか、食事のデリバリーや供花などについてもオプション料金がかかる場合もあります。リビング葬は、新しい葬儀施設の形態として注目したい反面、費用については見積もり内容と準備資金を比較しながら、入念に検討することが望まれます。




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