葬儀相談コラム


第74回 葬祭ディレクター



葬祭ディレクター  ■74-1 葬儀全般のアドバイザー

 人が亡くなってからお葬式を行うまでは期間も短く、大切な人を失った悲しみの真っただ中にあることもあって、お葬式の段取りをスムーズに進めるのが難しいことがあります。そんなとき、不慣れな葬祭全般について専門的見地からアドバイスを行ってくれる専門家がいれば心強いことでしょう。そのようなアドバイザーの一人として知っておきたいのが、葬祭ディレクターです。
 葬祭ディレクターとは、葬儀の業界で働く人に必要な専門知識と技能のレベルを示す資格・称号です。葬祭ディレクター技能審査協会が運営している葬祭ディレクター技能審査制度に基づき認定されています。
 葬祭ディレクターは、平成8年3月に労働省(現在の厚生労働省)より技能審査として認定を受けた制度で、技能審査試験は規程に基づき、合格者には「葬祭ディレクター1級」「葬祭ディレクター2級」の公的資格・称号が与えられています。
 平成8年に第1回試験が実施されて以来、平成26年までに協会が認定した「葬祭ディレクター1級」「葬祭ディレクター2級」の資格者は累計で約2.9万人に達しています。葬儀業に従事している人の数は約8.5万人と言われていますので、そのうち3割以上の人が「葬祭ディレクター」の有資格者と言えます。
 「葬祭ディレクター1級」は「すべての葬儀における相談、会場設営、式典運営等の葬祭サービスの詳細な知識と技能」、「葬祭ディレクター2級」は「個人葬における相談、会場設営、式典運営等の葬祭サービスの一般的な知識と技能」をそれぞれ保有していることが求められています。技能審査では、学科試験と実技試験(作業試験、実技筆記)の2つの試験が実施されています。





■74-2 葬儀ディレクターの保有知識

 葬祭ディレクターが身に着けている専門知識について、技能試験審査(学科試験・実技試験)の内容をもとに見てみましょう。
 学科試験では「葬儀および関連する事項についての知識」「葬儀に係る仕事の内容について、意味も含めて正確に理解できているか」「社会的環境・公衆衛生・法律・行政手続・遺族心理・宗教等の関連知識の有無」について問われています。一方、実技試験の範囲は、「幕張り」「接遇」「司会」に及びます。
 「幕張り」とは「葬儀の室内装飾の基本技術」のこと。葬祭ディレクター技能審査では、「自宅や寺院等での式場設営の基礎技術」「伝統的な式場装飾法である幕張装飾技法の習熟度」「設営課題実現のための目的意識と処理能力」を判定されています。
 「接遇」では、「葬儀の担当者としての遺族等への基本的な応接能力」「家族と死別した直後にある遺族や関係者に対して適切な応接をすることができるか」「挨拶、お悔やみ、意向を聴くこと、基本事項の確認を行うことを通して、礼等の基本的マナー、言葉遣い、進行の適切さ、姿勢、発声等」を判定されています。
 「司会」では、「葬儀運営のための基礎能力」「葬儀ならびに告別式の内容を理解し、参列者に配慮して適切な案内・進行ができるか」「必要な日本語読解力、文章表現力が備わっているか、マナーが優れているか」を判定されています。
 このように、葬祭ディレクターは、葬儀の執行から接遇・マナーに至るまで、全般的に知識・技能を有しています。近年、葬儀に関する社会的な関心が高まるにつれ、葬儀業の透明性、信頼性が求められるようになっており、「よりいっそうホスピタリティに富んだ、質の高いサービスを提供できる人材育成」を業界全体が目指しています。「葬祭ディレクター」は、そうした人材を示す資格・称号です。不明な点について遠慮なく相談して、納得のいく葬儀を行いたいものです。




■74-3 葬祭ディレクター以外の専門資格

 葬祭ディレクター以外にも、葬祭に関する専門家の資格があります。そのひとつは「葬祭カウンセラー」です。「葬祭カウンセラー」は日本葬祭アカデミー教務研究室が認定する葬儀やお墓に関する知識を有したカウンセラーで、葬儀や納骨に関する総合的なカウンセリングを中立的な立場で行う資格です。改葬の手続きや葬儀社との生前契約等の法的な手続きも行っているようです。「葬祭アドバイザー」は特定非営利活動法人葬儀を考えるNPO東京が認定している資格です。また、資格認定ではありませんが、「フューネラルアドバイザー」という名称で遺族との交渉に当たる専門家もいます。
 いずれの称号の専門家であっても、そうした専門家が属している葬儀業者の運営面での信頼性がたいへん重要です。葬祭ディレクターの資格を公表していることをメルクマールの一つとして、信頼度をチェックしてみることもおすすめします。




お急ぎの方は 07053643491
コラム一覧へ
全国版トップ