葬儀相談コラム


第71回 指定石材店制度



指定石材店制度  ■71-1 指定石材店制度とは?

 民営の墓地や霊園では「指定石材店制度」という墓石の紹介・販売のシステムがあります。ある霊園に墓所を購入しお墓を建てたい場合、当該霊園により指定された石材店で墓石を購入し、お墓を建てなければならないという決まり事のことです。墓地や霊園の規模により異なりますが、指定石材業者の数は数社から数十数社と複数に及びます。
 墓石を購入する人は、事前に特定の石材業者を指定しておかない限り、原則として霊園の指定業者以外の石材店でお墓を建てることは認められていません。霊園に見学に訪れたときに、霊園内の見学に同行するスタッフがいることがありますが、ほとんどの場合、石材店のスタッフです。通常は、霊園の側で複数の石材業者が順番で振り分けられ消費者の意思とは無関係に一方的に指定されます。
 指定石材店制度の問題点としては「石材店を変更できない」「複数の石材店の価格の見積もりがとれない」「墓石が高額で値段交渉の余地がない」「墓石の種類を選べない」など、複数に及びます。すなわち、「墓地選びは石材店選び」が実態といっても過言ではありません。





■71-2 墓地・霊園と石材店の関係

 なぜ、指定石材店制度があるのでしょうか。開発型霊園の場合、その開発費用の一部について、経営主体の宗教法人または財団法人以外に石材店が出資していることが多くあるためです。石材店は出資した分の区画の墓石の「権利」を得るというわけです。ケースによっては石材店が補償金を積んで「事前購入」していることもあります。そのため、消費者の立場では、石材店等を含む業界の「縄張り」の関係で、指定石材店制度に反して、指定外の石材店から墓石を購入するということが自由にできにくいといった問題があるのです。インターネットで霊園について情報収集する際に、石材店のページが多いのも、そういった事情があるからです。
 こうしたことから、民営の墓地や開発型霊園に墓地の権利を得て墓石を購入する際には、購入する前に指定石材店を確認しておき、その石材店で墓石を購入すべきかどうかを前もって調べておく必要があるでしょう。
 なお、公営・市営の霊園においては、指定石材店制度はありません。自由に墓石を購入することができます。ただし、霊園近隣に石材店が集中しており、それら石材店の組合が実質的に「指定石材店」となっているケースもあります。




■71-3 石材店選びのポイント

 霊園の権利を取得し墓石を購入する費用は少なくありません。また、故人や先祖を供養していくためにも、納得のいくお墓を作りたいものです。そのためには、親身に相談に乗ってくれる石材店と末永くおつきあいしていくことが大切です。信頼できる石材店であれば、墓石の品質や墓石に関するサービスに心配はなくなるでしょう。信頼できる石材店の目安としては、墓石の見積書やお墓の図面等を作成してくれる、墓石の保証書を発行してくれる、アフターサービスがある――などがポイントとなります。
 一般社団法人日本石材産業協会では、石材の産地を証明する「石材産地証明書」を発行したり「お墓なんでも相談室」を開催するなど、「石にまつわる安心」を届けるための消費者向けサービスを行っています。個別の石材店に接触する前に、このような相談窓口で情報を得ておくこともお奨めします。




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