葬儀相談コラム


第70回 生前予約



生前予約   ■70-1 葬儀の生前予約

 「生前予約」とは、自分にもしものときの葬儀について、「思いどおりの葬儀を行ってほしい」「遺族になるべく負担を掛けたくない」などの理由から、生前に葬儀社の選定、葬儀の内容・費用、支払い、埋葬などの葬式の方法を決めて葬儀社に予約をしておくことをいいます。
 通常は、葬儀社への事前相談から生前予約へといった流れが多いようです。葬式の内容として、柩・遺影写真・焼香設備・骨壷・納棺・告別式・寝台車・安置料金・式場使用料・火葬場利用料、永代供養、その他一切の管理費用等を決めておきます。以前は、生前にもしものときの準備をするのは不謹慎なことと避ける傾向がありましたが、最近は人生の締めくくりを自分で行うといった終活の考え方が広まっていて、「生前予約」を行うケースが増えているようです。





■70-2 生前予約?生前契約?

 そもそも「生前予約」は、アメリカで本人が生前に葬儀の契約をしておく「プレニード」が、日本語訳されたといわれます。「生前予約」というと、葬儀の内容までは確認しておくが契約まではしない、という印象を持たれることでしょう。一方の「生前契約」は、@葬儀の内容、A費用とその支払い方法、Bそれらを当事者間で定めた契約書を作成する――までの行為です。
 ただし、実態としては「生前予約」でも「生前契約」に近いケースがあり、「予約」と「契約」に明確な違いは見られません。むしろ、実態として金銭面を含めどのような内容の契約を交わしているかが重要なポイントになります。「生前予約」では予約管理手数料と称して毎年数万円の費用を亡くなるまでの間に徴収するケースもあるようです。「生前予約」は事実上「契約」であること、費用負担が発生することもあることには十分気をつけましょう。
 多くの葬儀業者では「生前予約」にあたって家族の同意を必要としています。本人一人で契約締結せずに事前相談の段階から家族で検討することをお奨めします。




■70-3 お墓の生前購入

 最近は、終活の一環として、生前に自分の墓を買う人が増えているようです。公営の霊園等では、1人用、2人用(夫婦)、それ以上の人数分用(家族)の埋葬を生前に予約できる合葬施設があり人気を集めています。ただし、お墓を生前購入する場合にも注意が必要です。
 気をつけなければならないのは、遺族が知らずに別にお墓を建ててしまったというケース。せっかくお墓を生前に購入していても遺族が知らなければ意味がありません。元気なうちに家族に伝えておくことが肝心です。エンディングノート等に生前購入したお墓の場所、区画などを記入しておくのがよいでしょう。
 家族の経済的負担を少なくするために、生前にお墓を購入しておくケースもあります。しかし、お墓の永代使用料や墓石の購入費用等とは別に、墓地・霊園によっては毎月の管理料、寺院によってはお布施がかかるため、家族の負担は思いのほか多くなります。将来の管理費用についても生前に家族に伝えておかなければなりません。
 本人が「亡くなった後は年に数回はお参りに来てほしい」と願っていても、家族のほうは「お墓はいらない」「合葬墓で構わない」「法事はやらない」など、供養に対する考え方が異なることもあります。また、生前は仲睦まじかった家族でも、亡くなった後に相続などで揉め事が起き、供養をしてくれる人がいなくなってしまうことも起こりえます。
 お葬式の生前予約やお墓の生前購入の前には、どのような葬儀にするか、どんな供養を望んでいるかについて、家族とじっくり話し合う機会を作っておきたいものですね。




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