葬儀相談コラム


第60回 遺産整理業務



遺産整理業務 ■60-1 遺産整理業務とは?

 ある日突然やってくる相続。そのとき遺族のみなさんは、普段は経験することのないさまざまな手続きを行わなければなりません。これらの手続きを遺族に代わって手伝ってくれるサービスが遺産整理業務です。主に、銀行等金融機関が取り扱っています。
 人が亡くなると、通夜・告別式、初七日法要、香典返し、四十九日法要、納骨式と葬祭の行事が進みます。
 これらに並行して、相続の手続きも行わなければなりません。4カ月以内に行わなければならない手続きだけでも、死亡届の提出、公共料金等の引落し口座の変更等、死亡保険金等の請求手続き、健康保険の手続き、公的年金の手続き、相続人の確定、遺言書の有無の確認、自筆証書遺言が見つかった場合は家庭裁判所で検認、相続財産の調査・把握、被相続人(亡くなった人)の所得税申告・納付(準確定申告)と、たいへん煩わしい手続きがあります。
 それ以降も、相続財産の評価額の確定、遺産分割協議書の作成、不動産の相続登記、預貯金や有価証券等の名義変更・解約、動産や各種権利等の名義変更、相続税の申告書の作成、相続税の申告・納付と、専門知識が必要な手続きが目白押しです。
 こうした手続きを、金融機関と遺産整理業務の契約を結ぶことによって代行してもらえます。




■60-2 遺産整理業務の契約の流れ

 はじめに、「遺産整理に関する委任契約」を金融機関との間で締結します。その際には、遺族(相続人)の中で代表者を決め、金融機関との窓口となります。
 次に、「相続財産の調査、財産目録の作成・報告」が行われます。金融機関は、遺族に代わって亡くなった人に関する相続財産や相続債務を調査し、財産目録を作成のうえ遺族に報告します。このとき、不動産の権利証や預貯金の通帳・証書、有価証券の現物・預かり証などの財産は、遺産分割手続きを行うための準備として金融機関に預けることになります。
 相続財産の目録が作成されたら、「遺産分割協議書の作成」に移ります。財産目録をもとに、相続人全員で遺産分割の話し合いを行い、分割内容が決まれば、遺産分割協議書が作成されます。
 遺産分割協議書が作成されたら、その内容に基づいて、不動産・預貯金・株式等の財産の名義変更や換金処分を実施して、遺産の引渡しなどの分割手続きが行われます。
 以上の流れで、遺産整理が終了します。終了時には金融機関が遺族に対し、「遺産整理終了報告書」を提出します。




■60-3 遺産整理業務の手数料は?

 遺産整理業務の契約を締結した場合に金融機関に支払わなければならない手数料は、相続財産の時価に所定の率を掛けて算出されます。
 例えば、ある金融機関のケースでは、その金融機関に預けていた預金やその金融機関の窓口で購入していた投資信託などがある場合は、その時価の0.324 %、それ以外の遺産については1.620%となっています。
 仮に、金融機関に3,000万円、それ以外の遺産が5,000万円だったとすると、遺産整理業務の手数料は、ざっと90万円となります。
 なお、この手数料以外にも、戸籍謄本や不動産登記簿謄本等の取寄費用、預貯金の残高証明書等の各種証明書取寄費用、不動産登記手続等名義変更にかかる司法書士の報酬や相続税申告等にかかる税理士の報酬が別途かかります。
 相続手続きの多くは、相続人全員の承諾が必要となるものが多く、また、手続きに期限が定められているため、すべてを遺族が行うことはたいへんです。とりわけ、遺産が多く、相続税の納税まで必要というようなケースでは、普段取引している金融機関に遺産整理業務を依頼してみてはいかがでしょうか。




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