葬儀相談コラム


第6回 介護が心配なったら?はじめの一歩



介護が心配なったら ■6-1 ネットワークをつくろう

父母の介護、祖父母の介護、配偶者の介護が心配になったら、まず行いたいのが情報収集ですね。介護は、自分たちの介護の方法は間違っていないだろうか?
行き届かないところはないだろうか? と、介護をする側の人にとっても不安でいっぱいです。

介護には正解はありません。自分一人で悩んでいても、余計に自分を追いつめてしまうだけです。例えば、親戚や仲の良いお友達に話を聞いてもらうという方法もあるでしょう。ところが、ただ話を聞いてもらうだけでは、一時的な気分転換にはなったとしても、悩み事は解決せずにストレスがたまるだけになってしまいかねません。

そこで、おすすめなのが、自分と同じように介護をしている人たちが集まるネットワークに参加して、自分が抱えている悩みや苦しみを聞いてもらうということです。同じ体験をしている者どうしならわかり合えることも多く、介護の先輩たちからのアドバイスを聞くこともできます。

介護に関するネットワークはいくつか登場しています。インターネット上で掲示板やフォーラムなどが立ち上がっていますので、自分に向いていそうなコミュニティが見つかったら、積極的に参加して、同じ悩みを分かち合ってみるとよいでしょう。



■6-2 親族との協力体制が大切

介護をするうえではいくつか悩みはあると思います。介護をする人にとって大きな悩みとして、「思うように自分の時間が取れない」ということが挙げられます。とくに仕事と介護の両立は、想像以上にたいへんなもの。自分一人の意思だけではどうにもなりません。

在宅で介護をしている場合などでは、ホームヘルパー(※1)に頼んでいるとはいえ、基本的には家族が介護にあたります。ですから、同居の家族は休まることがありません。

そこで考えたいのは、「家族や親族で介護の協力体制をとる」ということです。介護を進めるためには、キーパーソンは必要です。しかし、すべてのことをキーパーソンが責任を負わなくてはならないものでもありません。

実際に、勤務時間中や深夜などの時間帯は、介護が手薄になることは多いと思いますが、介護に「休暇」はありません。親族間で介護にあたる時間の調整ができないときは、誰か一人が責任を負うのではなく、「通所介護」(※2)や「ショートステイ」(※3)を利用して、介護する人のための自由時間を捻出するように心がけましょう。

介護は、子育てとは違って、いつ終わりが訪れるのかは誰にもわかりません。介護のプロに任せられることは任せてみる、そして自分の時間を確保しながら、自分や家族のペースで介護にあたれるように工夫をして、精神的なゆとりを生みたいものです。心穏やかに介護にあたることは、自分だけでなく、介護される人にとっても幸せな時間となるのです。


(※1)ホームヘルパー:訪問介護員ともいう。高齢者や障がい者などの居宅を訪問し、入浴、排泄、食事などの介護や日常生活で必要な援助を行う職員。介護福祉士、初任者研修・実務者研修修了者など。

(※2)通所介護:公的介護保険の居宅サービスのひとつ。介護老人福祉施設などに通所して、入浴や排泄、食事等の介護、日常生活上の世話や機能訓練などを受ける。要支援者を対象とするものを介護予防通所介護という。通所介護は「デイサービス」ともいう。

(※3)ショートステイ:高齢者や障がい者が施設に短期間入所して生活支援を受けるサービス。公的介護保険における短期入所生活介護、短期入所療養介護、障がい者総合支援制度における短期入所サービスの通称。



■6-3 介護する側、される側の信頼関係


介護は家族の問題、だから自分が頑張れば何とかなるのでは?と考えて、一生懸命に介護に取り組んでいる人を見かけます。たいへんすばらしいことですが、独りで介護に取り組んで、抱え込まなくてもよい悩みまで抱え込むケースも見られます。

介護を上手に行うためには、介護のプロとの信頼関係をつくることです。実際に介護にあたるのは自分や家族だったとしても、できることには自ずと限界があります。介護のプロであるケアマネージャー(※4)やホームヘルパーと、どのように介護に取り組んでいけばいいかについて、じっくりと話し合うことが大切です。

親族だけで介護をする場合は、介護をしすぎる傾向も見られます。そもそも、介護は、本人の身体機能を最大限に生かしながら、本人が困難である動作について補助をしてあげることです。介護をしすぎることで、残存機能が衰えてしまうことになったら、介護は本末転倒です。

介護は、すぐにプロに相談できるという体制を築いておくことも必要です。プロとのネットワークを大切に、自分や家族の“困った”に対処できるようにしておきたいものです。

また、介護するうえでは、介護をする側とされる側の間のコミュニケーション不足にも注意が必要です。介助を行う際には、必ず声を掛けて行いましょう。意識がしっかりとある場合には、「○○の理由があるので、○○のような介助をするんですよ」と説明してあげるといいでしょう。

介護される人は介護する人と同じように不安なものです。本人が納得するまで丁寧に説明を行いましょう。本人が介護の内容を理解・納得してくれれば、介護や介助されることに対して前向きになってもらえ、協力的に動いてくれるようになります。

仕事をしながら介護をする場合は、本人が施設に入所していると、なかなか思うように施設に訪問できないことがあるかもしれません。そういうときは、仕事の状況を話してあげると本人は安心します。

理想的には、介護する側、される側が、ともにストレスのない毎日を送ること。お互いの気持ちや状況がわかり合えるように、十分なコミュニケーションをとることが大切です。


(※4)ケアマネージャー:介護支援専門員。「介護保険法」に基づき、要介護者等の自立した日常生活を支援する専門職。要介護者の課題を把握し、ケアプラン(介護サービス計画)の作成、各事業者・施設との連絡などを行う。
執筆:飯田道子(CFP認定者)
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