葬儀相談コラム


第58回 死後事務委任契約



死後事務委任契約 ■58-1 おひとりさまの心配事

 独身で一人住まいのまま人生の終末期を迎えたとき、最も心配なことは、人知れず亡くなり、そのまま見つけられずに放置されてしまうことだといいます。その対策としては、定期的に巡回してもらえる見守りサービスがあります。ただ、見守りサービスは生前についてのものであり、亡くなった後の葬儀まで面倒を見てもらうことはできません。そこで、生前のうちに亡くなった後の事務的な部分の手続きを行う事を約束した契約を結んでおけば安心です。これを死後事務委任契約といいます。




■58-2 死後事務委任契約でできること

 死後事務委任契約で委任できる事柄には、例えば、次のようなものがあります。
・家族や友人などへの死亡の通知
・生前の医療費などの未払い分の代理精算
・家賃・地代・管理費等の支払いと敷金・保証金等の支払い
・老人ホーム等の施設利用料の支払いや入居一時金等の受領事務
・通夜、告別式、火葬、墓石建立、納骨、埋葬、永代供養の事務
・行政官庁等への諸届け事務
・遺品整理業務(家財道具や身の回りの生活用品の処分)
 上記に関する事務は、相続税の納税や遺産分割等の相続に関する手続きとは異なり、遺言書の執行の範囲に含まれませんので、遺言とは別に死後事務委任契約を結んでおくことはたいへん重要です。




■58-3 死後事務委任契約の注意点

 死後事務委任契約は、法律上は委任契約の一種です。一般的に委任契約では、委任者が亡くなると代理権が消滅し委任契約が終了となりますが、死後事務委任契約については、亡くなった後も委任契約が継続するものとして締結されます。
 ただし、委任者(亡くなった人)の地位は、相続人に引き継がれます。もし、死後事務委任契約で葬儀の一切を第三者である友人に任せていたとしても、委任者の死後、委任者の相続人である遺族が、この死後事務委任契約の内容について解除を申し出ると、その時点で、せっかく締結した死後事務委任契約は消滅してしまいます。
 死後事務委任契約は、とくに独身者にとって人生最後の旅立ちを締めくくるために大変重要な契約ですが、残念ながら、本人がその履行を見届けることはできません。そのため、死後事務委任契約の履行時に無用なトラブルを避けるためにも、契約締結時に、相続人等関係者とコミュニケーションを図っておくことが大切です。
 なお、死後事務委任契約を検討する際には、弁護士、行政書士、公証人等の専門家に相談してみることをお勧めします。




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