葬儀相談コラム


第57回 預金からの葬儀費用の引出し



葬儀費用 ■57-1 預金者が亡くなると預金口座は停止される

 預金者が亡くなると、金融機関(銀行等)は、預金者名義の預金口座の入出金を停止します。もしも、入出金の停止を行わずに通帳と印鑑を持参した人(第三者)に預金を払い出してしまうと、相続人に対して損害賠償をしなければならない可能性があるからです。
 金融機関では、例えば「営業担当者が外回りで預金者が亡くなったことを知った」「窓口担当者が預金者の家族から亡くなったことを聞いた」「預金者の家族から預金者が亡くなったとの電話があった」など、預金者が亡くなった事実について知りえると、速やかに、戸籍謄本や死亡診断書等の公的書類の提出を求めて事実確認を行い、入出金を止めることになります。止まってしまった預金口座からは、原則としてお金を引き出すことはできなくなってしまいます。




■57-2 葬儀費用としてなら引き出せる

 亡くなった人の預金口座からお金を引き出すには、相続人全員の合意が必要になります。相続人の合意が得られない場合や合意までに時間がかかる場合は、お金を引き出すことができなくなります。そうすると「亡くなった直後で葬儀費用が掛かるためお金を引き出したい」というときでも、お金を勝手に引き出すことはできません。
 万一、亡くなった人のキャッシュカードを使うなどして相続人の一人が勝手にお金を引き出すと、窃盗を行ったとして、他の相続人から訴えを起こされることもあります。さらに、刑事罰を受けると、遺産分割自体を受けられなくなることもあるので注意が必要です。
 なお、例外として、葬儀費用や亡くなった人の生前の入院費用など、やむを得ない支払いについては、相続人全員の合意がなくても、金融機関が預金の払戻しに応じてくれることがあります。詳細については、金融機関窓口に確認してください。




■57-3 公共料金等の口座振替は新たに契約しなおす

 ところで、預金口座の権利は、預金者が亡くなっても相続人に承継されます。預金口座そのものがなくなるわけではありません。そのため、預金者が亡くなった後に第三者からその口座に振込があった場合でも、そのお金は口座に振り込まれることになります。実際には、金融機関が振込依頼人に預金者が亡くなっていることを伝え、そのまま振り込んでよいかの判断を求めることになります。
 一方、電気・ガス・水道等の公共料金や家賃の支払いなどの口座振替契約は、預金者が亡くなった時点で停止されます。そのため、亡くなった人と同居していたご家族の場合は、別の預金口座で口座振替契約をし直しておかないと、公共料金や家賃などが未払いになってしまいますので、手続きを怠らないよう気を付けましょう。




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