葬儀相談コラム


第56回 海洋葬



海洋葬 ■56-1 散骨と海洋葬

 亡くなった人の遺体を火葬したあとの焼骨を粉末状にし、海や空、山中等でそのまま撒く葬送の方法を、一般に「散骨」と呼んでいます。
 散骨は、憲法で保障された基本的人権の「葬送の自由」によるものと積極的に評価される反面、土地に対する散骨では「近隣農地で生産される農産物に風評被害が広がる」ことや、港湾や漁場・養殖場のある場所でも同様のクレームがあることなどから、「散骨の方法については公認された社会的取決めが設けられることが望ましい」(厚生労働省)とされています。

今後、墓地を持たない散骨によるシンプルな葬送が増えてくるにつれて、散骨の社会的認知も進むものと思われます。
 海洋葬は海、川、山、空、宇宙などに散骨する自然葬の一つで、「死後は自然に還りたい」「大好きだった海に行きたい」「子供たちにお墓の管理で迷惑を掛けたくない」などのニーズに応える葬送として、近年、注目が高まっています。宗教的な葬儀を行わず直葬のあと墓地に埋葬せずに海洋葬を行う例も増えています。




■56-2 海洋葬のマナー

 海洋葬は、法律上の規制はとくにありません。ただし、地域住民や漁業関係者等の事業者との無用のトラブルを防ぐためにも、守るべきマナーがあります。
 海洋葬にあたっては、まず遺骨の粉骨化が行われます。焼骨の原型をとどめないレベルまで、2〜3ミリ程度に細かく加工されます。葬儀業者によっては、遺骨から異物を取り除いて乾燥させたり、「お骨洗い」という洗骨サービスを行うケースもあります。
 粉骨化された遺骨は散骨が可能ですが、川、滝、湖、沼などでの散骨は、水道水の水源の観点から、社会的問題の発生を防ぐために原則禁止が望ましいとされています。
 また、海における散骨でも、フェリ一や遊覧船などは一般乗客への配慮が求められ、マナーに違反すると船主から損害賠償の対象となる可能性もあり注意が必要です。
海岸や浜辺や防波堤での散骨も、漁業者、養殖場、海水浴場や海の家などから風評被害による民事訴訟の可能性があるため、避けるべきでしょう。
 以上のことから、海洋葬を行いたい場合は、専門の葬儀業者に依頼するのが無難です。




■56-3 海洋葬の種類と料金

(1)個人散骨(チャーター散骨)
 遺族のみで船を貸し切って散骨を行う方法です。散骨の場所・式の演出など、可能な限り希望に合わせた設定が可能です。ただし、料金は割高で、20万円〜50万円とかかります。
(2)合同散骨
 複数のグループが同時に船に乗り合わせて散骨を行う方法です。個人散骨に比べて、費用は割安で済みます(乗船一人につき2万円など)。複数の遺族が乗船するため、比較的大型の船で行われるケースが多く、揺れが少ないことや設備が充実しているといった利点があります。反面、散骨場所や時間など自由にできないといった制約もあります。
(3)代行散骨(委託散骨)
 遺族は乗船せずに葬儀業者に散骨を任せてしまう方法で、費用は5万円〜10万円程度と最も割安で済みます。海図入り額付きの散骨証明書などを有料で提供してくれる業者もあります。
 一般社団法人日本海洋散骨協会では、海洋葬に関する情報提供や事業者の案内を行っています。海洋葬を検討する際には連絡をしてみるとよいでしょう。




お急ぎの方は 07053643491
コラム一覧へ
全国版トップ