葬儀相談コラム


第50回 夫婦別々のお墓に入る!?



夫婦別々のお墓 ■50-1 熟年離婚が増えている

 60歳を迎え長く務めてきた会社から出向先へと転籍。これからはのんびり仕事とプライベートに時間を費やそうと思っていた矢先に、長年連れ添った妻から離縁される――。
 同居期間が30年以上になるいわゆる熟年夫婦の離婚件数は、ここ10年で3倍以上に増えていると言われます。離婚件数全体で見ても、熟年夫婦の離婚の増加率は2倍以上となっています。熟年離婚のほとんどは妻の側からの申し立てとのこと。夫婦円満に人生のエンディングを迎えることが当たり前ではなくなっているのかもしれません。
 熟年離婚に至らなくても、「夫婦別のお墓に入りたい」とひそかに思う奥さまも少なくない(!?)と言われます。「夫側の親類縁者と折り合いが悪い」「夫に対する愛情が冷めてしまった」「ほかにどうしても同じお墓に入りたい人がいる」「自分だけで自由にお墓を選びたい」など、現世と来世は別、と考える人がこれからますます増えてくるかもしれません。
 では、夫婦別々のお墓に入ることは可能なのでしょうか?




■50-2 別々のお墓に入ることも可能

 まず、熟年離婚して奥さまがもとの苗字に戻る場合を考えてみましょう。このケースでは一般的には実家のお墓に入ることが多いようです。
 「離婚後には実家のお墓には入りづらい」という場合は、新たにお墓を持つか、合葬墓などに埋葬されることになるでしょう。
 また、本人が入るお墓を定めていても、遺族の意向で別のお墓に埋葬されることもあり得ます。永代にわたって供養を行うのは子や孫たちだからです。すなわち、自分自身が亡くなった後のことまではコントロールできませんから、生前にお墓を定めておきたい場合は、遺言などに記しておくことをお勧めします。




■50-3 お骨の所有権

 ところで、お骨の所有権は誰に帰属するのでしょうか。民法第897条(祭祀供用物の承継)によると、遺体や遺骨は遺産ではないため相続の対象とはならず、その所有権は祭祀を主宰すべき者(祭祀承継者)に認められることになります。したがって、例えば内縁の妻などの他人であっても、祭祀承継者に指定されれば遺骨を所有することができます。この祭祀承継者は遺言等で生前に指定しておくことができます。指定がなければ慣習にしたがうこととなります。話がまとまらなければ家庭裁判所が審判で決定します。
 夫婦別々のお墓に入りたいのであれば、生前に祭祀承継者を指定しておくこともお勧めします。


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