葬儀相談コラム


第5回 介護とリハビリ


介護とリハビリ ■5-1 理学療法

 公的介護保険の要介護認定を受けると、ケアプランとしてリハビリテーションが組み込まれることがあります。一口にリハビリと言っても、その人の身体状況や回復させたい機能や回復目標によって、必要となるリハビリテーションは異なってきます。

 病気やケガを負ってしまったり、老化などによって身体に障害が残ってしまったときには、理学療法によって身体機能の回復をしていきます。理学療法は理学療法士によって施されるもので、医師の指示のもと、看護師やスタッフなどと合わせて治療を行っていきます。

 施術の目的は主に基本的動作能力である、座る、立つ、歩くなどといった回復を目指すものです。

 身体に障害を負ってしまったときには、社会生活を送るうえで不便を感じたり不利になってしまうことが多くあります。そのような状態になってしまったときには、介護される本人や家族にも大きな負担となってしまいます。
 理学療法士は、介護される人や介護する人が抱える、社会生活を送るうえでのハンディとなる要素をできる限り少なくするために、福祉用具を選んだり、住まいのリフォームや在宅介護のアドバイスなどを行います。そのほかにも、生活習慣病の予防などにも用いられます。

 理学療法を行うときには、医師の診断のほか、検査や測定結果をもとに治療内容が決まります。具体的には、運動療法、水治療法、日常生活動作訓練、温熱治療などのほか、器具を用いた電気光線治療などもあります。

◎理学療法の種類

運動療法 運動により障害で動かなくなってしまった関節や筋肉を動くようにする治療方法。神経や筋肉や関節の動きなどに関する解剖学的、生理学的、運動学的知識が必要となる。
水治療法 水の中に入り、浮力を利用して手足を動かしていく治療方法。運動療法の補助的な位置づけ。
日常生活動作訓練 生活に必要となる食事、排泄、入浴、着替えなどの日常生活に欠かすことのできない身の回りの動作を訓練する治療方法。基本となるリハビリであり、身体機能を回復させ、基本動作や日常生活をスムーズにさせるための指導を行う。
温熱治療 障害を負っている患部などを温めて新陳代謝機能をアップさせる治療であり、循環作用が改善されるほか、痛みを抑える効果もある。
電気光線治療 低周波や超音波などの機器を用いた治療方法で、筋肉の萎縮防止や鎮痛作用を目的とする。赤外線などを照射し、皮膚を温めるなどの治療も行う。

■5-2 作業療法

 作業療法は、理学療法とともに、一般に広く認知されているリハビリテーションのことです。作業療法は理学療法と平行して施されたり、理学療法の治療後に行われる場合があります。

 病気やケガや老化により身体機能に障害が残ってしまったときには、理学療法を用いて治療を行います。それに対し、作業療法は、より社会生活を送りやすくするための訓練であり、理学療法の応用編の位置づけになります。

 作業療法の治療には、作業療法士があたり、在宅生活での助言や指導、すまいのリフォームの助言や指導なども行います。

 作業療法では、社会生活に必要な具体的な生活シーンを想定し、訓練が行われます。主な訓練の内容としては、日常生活を円滑に進めるために必要な食事や着替え、入浴や排泄などの活動の訓練を行います。また、炊事、洗濯、清掃といった家事全般の
活動も訓練します。院内や施設に設置されているモデルルームなどを利用して実際にその動作を体感しながら訓練を行っていく、社会復帰を視野に入れた実践的な訓練です。

 身体状況や身体機能によりますが、今までと同じ動作では円滑な社会生活を送ることが困難なときにはできない理由を解明し、必要とする動作を可能にするための器具などを考えていくというのも作業療法の大きな役割の一つとなっています。

 作業療法が用いられる領域は大変幅広く、身体障害の回復や老年期の障害を回復させる目的のほか、発達障害や精神障害の回復にも、幅広く用いられています。

◎作業療法による領域別回復目標

身体障害の回復 ■身体機能の回復 ■日常生活が円滑に進むようにする ■生活に必要となる計算や記憶などを評価し、治療、訓練する ■職場復帰を視野に、身体機能やコミュニケーション能力を高めていく ■不安を和らげ、自信をつけさせるなどの心理面へのフォロー
老年期障害の回復 ■身体機能の回復 ■日常生活が円滑に進むようにする ■集団の中での役割意識を得て生活圏の拡大を図る ■生きがいを見出だし、再活動できるようにする ■不安を和らげ、自信をつけさせるなどの心理面へのフォロー
発達障害の回復 ■日常生活に欠かせない立位、座位、歩行などができるようにする ■つかむ、放すなどの手の機能をアップさせる ■食事や着替え、排泄や入浴などの生活活動能力の獲得 ■学習基礎能力の発達を促す ■情緒を安定させ、社会生活性をアップさせる
精神障害の回復 ■症状が安定するための援助 ■対人関係の改善 ■生活を改善し、円滑に生活できるような生活技術が得られるようにする ■自立した社会生活が送れるようにするための援助

■5-3 言語聴覚療法

 理学療法や作業療法は、目に見える身体機能のアップを図る治療であるのに対し、言語聴覚療法は、目に見えない言葉や嚥下障害にフォーカスした治療です。

 言語聴覚療法は、病気や事故、発達場で損なわれてしまった機能の回復を目指します。失語症や運動性音障害や聴覚障害、食べ物を飲み込んだ際の嚥下障害の人に対して行われるリハビリであり、治療には言語聴覚士があたります。

 言語聴覚士は、問題の本質を見極めながら評価を行い、表現メカニズムを解明、どのような訓練をすればいいのかを考えていきます。治療をする場合には担当医師や理学療法士や作業療法士、看護師や心理専門職やスタッフなどと連携を図ります。聞く、話すというのは、コミュニケーションを図るうえでは大切な機能ですが、これらの機能が損なわれてしまうとコミュニケーションが取りにくくなるほか、大きな自信を失うことがあります。そのようなときに、言語聴覚療法が施されます。

■5-4 口腔ケア

 言語聴覚療法の治療範囲である嚥下機能にフォーカスして治療を行うリハビリです。口腔ケア、口腔リハビリとも言われます。治療には専門の歯科医師や歯科衛生士があたります。

 人は生命を維持するために日々摂食という大切な行為をしますが、脳梗塞や脳出血などの病気にかかると、摂食機能に障害が生じてしまうことあります。また、年齢を重ねることで口の中の環境(口腔環境)や虫歯や歯槽膿漏などが原因となって口の中が乾燥し、機能障害などが起こる場合があります。高齢者の場合、これらが要因となって摂食障害が生じているケースがあり、この摂食障害を改善・回復させるための治療が口腔ケア、口腔リハビリとなります。

 口腔ケアでは、口腔ケア・リハビリ、粘膜のケア、口腔環境の改善、生活動作の改善、心理学的改善などが行われます。


◎口腔ケアの種類

口腔ケアおよびリハビリ 正しい歯磨き方法の指導や口腔体操や舌体操を実施し、ケアとリハビリを行う。麻痺を改善させることで誤嚥防止につなげる。
粘膜のケア 乾燥している口の中の状態を改善させるために保湿剤を使って粘膜をケアする。医学的な治療と併用される。
口腔環境の改善 病気や年齢を重ねることで粘膜や唾液の分泌が衰えてしまう状態を正常に戻し、口腔内の感覚や反射を改善させる。
生活動作の改善 誤嚥の要因である口腔障害や体位や姿勢の悪い場合などを、正しい姿勢や生活動作を身につけられるよう改善指導を行う。同時に、手指の機能改善なども行う。
心理学的改善 摂食障害が生じたことにより、自分一人で食事がとれないなどで生きる意欲が低下することなどを防ぐため、心理学的に意欲を回復させるケアを行う。

執筆:飯田道子(CFP認定者)
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