葬儀相談コラム


第41回 檀家制度と離檀料



檀家制度 ■41-1 離檀料

 「前回のコラムで、お墓の引っ越しとも言える改葬について紹介しました。ところで、改葬を行う際に、お寺から離れる行為を離檀と呼び、離檀の際には、離檀料としてお寺からまとまったお金を請求されることがあります。離檀料はまちまちですが、50万円から多いところで500万円以上を請求される例があります。その結果、改葬だけのために多額の費用がかかってしまう例が少なくありません。
 離檀料が高額になることには、お寺としても事情があります。お寺のお墓にはただ、埋葬しているだけではありません。お寺の仏閣やお墓の維持、毎日の供養、年忌法要、読経などのおつとめを行っていて、それに応じて費用がかかっています。それらの費用は主にお寺に属する檀家または門徒からの護持会費(年会費)やお布施でまかなわれています。近年、とりわけ地方において人口減少や宗教意識の希薄化により檀家や門徒の数が減っており、お寺の経済事情が厳しくなっていることが離檀料の高騰の背景として考えられます。




■41-2 檀家制度の推移

 檀家制度について歴史をさかのぼってみると、江戸時代の檀家制度では、檀家は菩提寺の維持費を負担する義務がありました。当時、檀家は菩提寺を変えることができなかったため、現代のように改葬することはほとんどありえず、離檀料が発生することもありませんでした。
 現在、檀家制度は廃止されており、お寺は檀家に対して維持費の負担を強要することはできませんが、檀家は将来にわたって、そのお寺の檀家として家の仏の菩提を弔ってもらう必要があるために、菩提寺を維持していかなければならないことになります。
 檀家は、お寺に対し、護持会費(年会費)のほか、お経、戒名・法名、その他諸々のお布施を支払います。このお布施についても、お寺によっては数万円から数十万円、中には200万円を超える例があり、お寺に関する費用は多額に及ぶことがあるため、信仰とは別の経済的理由で、お寺から離れるケースがあることも事実です。
 一方、お寺では、檀家・門徒の数を増やすための取組みを行っています。あるお寺の例では、入会金なし、護持会費(年会費)6,000円で門徒を募集しています。護持会費は、本堂の花や維持管理費(光熱水費)、本山賦課金、仏教婦人会や壮年会等の教化活動費などに充てられます。入会時に、将来、離檀したい場合でも離檀料を請求しないことを約束しているお寺もあります。




■41-3 離檀料は払わなければならないのか?

 お寺の経済事情が厳しいとはいえ、離檀をしたい人の立場からすれば、契約書などを取り交わしておらず、法的に根拠のない料金の支払はできないのが道理です。ところが、改葬の手続きに当たっては、「改葬許可申請書」に署名・捺印をもらわなければならず、このことが、お寺が離檀料を強気に請求してしまうことにもつながっています。
 では、改葬するためには、離檀料を払わなければならないのでしょうか?
まずは、離檀料についてお寺の言い分を聞いてみることが大切です。そもそも離檀料は契約行為ではありませんから、必ず払わなければならないお金ではありません。払えない金額であれば、その旨をお寺に伝えてみればよいのです。お寺にはお寺の事情があるでしょうが、檀家にも事情があるのです。
 万一、交渉がまとまらない場合、最終的にはお寺との縁を切ることになります。お寺が管理しているお墓に納骨した先祖の骨は、無縁仏となって共同埋葬に移されるかもしれません。しかし、それによって後から多額の費用を請求されることはありません。檀家の心の問題ではありますが、このように離檀料を払わないという手段もないわけではありません。
 葬儀・供養に関することで、もめ事は起こしたくないものです。日頃から菩提寺の住職と話し合いをもち、離檀について率直に意見を述べ合うことが肝心です。また、最初から離檀料のかからない宗派の門徒となることも検討してみるべきでしょう。


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