葬儀相談コラム
第30回 生前葬
■30-1 生前葬とは?
生前葬をご存じでしょうか。本人がまだ生存しているうちに執り行われる葬儀のことです。生前のうちにお世話になった方やご縁のある方を招待して、これまでの御礼を述べるための葬式、といえます。
生前葬の形式はさまざまです。立食パーティーのようなアンフォーマルな形式から、音楽や演劇など嗜好を凝らしたものまでいろいろあります。無宗教の形式もあれば宗教的な葬儀もあるなど、生前葬は自由なプログラムで行われることが特徴となっています。
■30-2 本人と喜びを分かち合える
実際に生前葬を行うケースは、そう多くはありません。有名人の場合は、赤塚不二夫さんや水の江瀧子さんの生前葬が有名です。水の江さんの生前葬では、葬儀委員長、代表献花、司会を大物タレントでしめ、弔辞も大勢の方に披露されたそうです。本人が出席しての葬儀ですから、笑みの絶えない賑やかな葬儀だったようです。
生前葬には、本人が生存しているうちに、ともに過ごした喜びを本人と参加者が分かち合うというとても大切な意味があります。一般的な葬儀では、亡くなってからのお見送りであり、参列者には心残りもありえますが、生前葬であれば、ゆっくり本人と語り合うことができるのです。
■30-3 生前葬の注意点
一方、生前葬は、まだ日本人の葬儀の感覚に根を下ろした葬儀の形式ではありません。生前葬への理解が進んでいない状況での執行は、十分な配慮も必要になってきます。
生前葬の主催者は本人です。参列者を招待する際には、まず参列者に、生前葬を執り行う理由について、きちんと説明する文言が必要になるでしょう。そして、生前葬をどのような形式で行うのか、式のプログラムは、参列者の服装は、香典の有無は等々、細かく明記したうえで招待状をお送りするのが礼儀となります。
生前葬は形式にとらわれませんから、どのような形式にするかで費用は千差万別です。ただし、本人が生存中に本人の出費で行うことができるという点で、遺族に面倒をかけることにはならなそうです。
また、生前葬の後、亡くなったときの葬式は、家族葬や密葬で行うことが多いようです。
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