葬儀相談コラム
第23回 サービス付き高齢者住宅
■23-1 高齢者にとっての住宅問題
わが国では高齢化が急速に進むなか、介護や医療のサービスを必要とする65歳以上の高齢の単身者や夫婦の世帯が増加しています。そのため、バリアフリー構造など高齢者にとって安心・安全で、介護・医療と連携したサービスを提供する高齢者向け住宅について、国土交通省・厚生労働省が所管し都道府県知事への登録を行う高齢者向け住宅制度が誕生しています。これが「サービス付き高齢者住宅」です。
「サービス付き高齢者向け住宅」は、住宅としての居室の広さや設備、バリアフリーといった構造の条件を備えるとともに、ケアの専門家による安否確認や生活相談サービスが提供される住宅となっています。
平成26年5月現在、「サービス付き高齢者向け住宅」は、全国で4,626棟、148,632戸が登録されています。
■23-2 「サービス付き高齢者住宅」とは?
「サービス付き高齢者向け住宅」は、(1)高齢者にふさわしいバリアフリー構造と一定の面積、設備と、(2)介護・医療・生活支援の専門家による安否確認サービスと生活相談サービスの2つを備える住宅です。
(1)設備・構造
床面積は、原則 25u 以上 (居間、食堂、台所そのほかの住宅の部分が高齢者が共同して利用するため十分な面積がある場合は 18u 以上)です。そして、各居住部分に、台所、水洗便所、収納設備、洗面設備、浴室が備えられています。共用部分に共同して利用するため適切な台所、収納設備または浴室を備えられている場合もあります。また、住居内各所に、廊下幅、段差解消、手すり設置などのバリアフリー構造が施されています。
(2)各種サービス
「サービス付き高齢者向け住宅」では、安否確認サービスと生活相談サービスが必須のサービスです。社会福祉法人・医療法人・指定居宅サービス事業所等の職員や、医師、看護師、介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員など介護・医療・生活相談サービスの専門家が、日中建物に常駐して、サービスを提供します。常駐している専門家のほとんどは、居宅介護サービス事業者の職員またはホームヘルパー2級以上の有資格者であるようです。
なお、個別の住宅により、安否確認・生活相談サービス以外の介護・医療・生活支援サービスの提供・連携方法について様々なタイプがあり、状況把握・生活相談サービス、食事の提供サービス、入浴等の介護サービス、調理等の家事サービス、健康の維持増進サービスなどが行われています。
(3)高齢者居宅生活支援事業
「サービス付き高齢者向け住宅」の約8割が、高齢者居宅生活支援事業の併設施設を持っています。併設施設の種類としては、通所介護事業所、訪問介護事業所、居宅介護支援事業所が多いようです。
(4)登録
「サービス付き高齢者向け住宅」は、都道府県・政令市・中核市に登録されています。それら地方自治体が、「サービス付き高齢者向け住宅」の事業者へ指導・監督を行っています。
地方自治体への登録制度により、家賃やサービスなど住宅に関する情報が開示され、利用者にとって、ニーズに合った住まいの選択が可能となっています。
(5)契約
「サービス付き高齢者向け住宅」への入居に際しては、書面による契約を締結が義務づけられています。契約書面では、「専用部分の明示」「長期入院の場合などで事業者から一方的に解約できない」など、利用者が安心・安定して居住できるような契約内容となっています。
なお、入居時に必要になるお金は、「敷金」「家賃」「サービスの対価」のみで、権利金やその他の金銭の支払いは認められていません。
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