*遺骨は誰のもの!?
●182-1 遺骨の所有権は祭祀主宰者にある 遺骨は、現金や不動産などの相続財産ではありません。一般には、故人の財産は相続する人たちで分割することになりますが、遺骨はその対象となる相続財産ではありませんから、遺産を相続する人たちが法律で決められた割合で遺骨を分けて持ち合うということにはなりません。 では、遺骨を所有する権利は誰にあるのか?ということですが、このことは、法律で定められています。民法第897条「祭祀に関する権利の承継」によると、「系譜、祭具及び墳墓の所有権は(中略)、祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する」とあります。つまり、祖先の供養を主宰して行う人が遺骨を所有する権利を持つことになります。この権利を持つ人のことを祭祀主宰者と言います。 ●182-2 祭祀主宰者は他人でも構わない 遺骨の所有権を持つ祭祀主宰者は、「祖先の祭祀を主宰する」ことが条件ですから、家族や親戚でなくとも問題ありません。加えて、もし故人が生前に遺言書を書いており、その中に「遺骨は○○○○(氏名)に与える」と書き残してあれば、遺骨の所有権はその人に渡ることになります。 したがって、遺骨の供養は、まずは遺言書等に誰に渡すかが書かれていないかを確認することが必要です。 ●182-3 遺骨でもめたら裁判所で持ち主を決める 遺骨を誰に与えるかが遺言に書いてない、またはそもそも遺言がないときは、一般的には喪主が祭祀主宰者となって遺骨を供養します。ところが、相談者のケースのように、遺骨の供養をめぐって複数の人の間で意見がまとまらないときは、家庭裁判所に調停の手続きを申し立て、それでもまとまらなければ、最終的には家庭裁判所の審判で決めてもらうことになります。 ●182-4 分骨には分骨証明書が必要 話し合いがまとまって分骨できるようになったら注意していただきたいことがあります。 分骨は分骨用の骨壷に遺骨を移すわけですが、その際、墓地の管理者から「分骨証明書」を発行してもらってください。手元供養といって、自宅の仏壇等に骨壷を置く場合は分骨証明書はいりませんが、もし他の墓地に埋葬しなおすというときは、分骨証明書が必要になります。 |