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第170回 お焚き上げ



お焚き上げ ●御札や御守、仏壇・仏具などを燃やして供養する行為をお焚き上げと呼びます。正月飾りや注連縄(しめなわ)などを燃やすどんど焼きもお焚き上げと同じ意味合いで行われています。最近は、写真や手紙など、故人の持ち物の整理の際にお焚き上げを利用して供養するケースも増えています。

●170-1 お焚き上げとどんど焼き
 新しい年を迎えるにあたって、お祀りした御札、御守、注連縄(しめなわ)、正月飾り古い神棚などを、神社、仏閣、氏神様にお納めして、浄火によって燃やすことを「お焚き上げ(おたきあげ)」と言います。お焚き上げは、それまで守ってもらった神々に対する感謝の心を捧げて、改めて祈願成就を念じる行事です。

 正月15日頃に各地の神社などで「どんど焼き」と呼ばれる行事が催されます。どんど焼きは古くは平安時代に起源があります。扇や短冊などを焼いて厄祓いや占いをしたことが始まりで、正月の松飾りなどを焼いて、その火餅を焼いて食べると無病息災になるなどの信仰があります。お焚き上げとどんど焼きの起源は異なるものでしたが、近年は、お焚き上げもどんど焼きも、同様の行事となって人々に親しまれています。

 お焚き上げは通常、神社等に古札納所が設置され、そこに御札や御守などを入れるとまとめて火がかけられます。お焚き上げには入れてはいけないものもあります。だるま、熊手などは竹の部分などが爆発するおそれがあるため、お焚き上げを禁じるところがあります。だるまや熊手は御霊が入っていないためお焚き上げの必要はない、という考え方もあります。また、人形などはお焚き上げとは別に人形供養という取り扱いになります。

 神社等に持ち込まなくても、ご家庭で清める作法もあります。新聞紙を広げてその上にお清めしたいものを置き、清めの塩を左、右、左の順に3回かけ、そのまま新聞紙に包んで捨てます。これで、簡易的なお清めは可能です。

●170-2 仏壇・仏具のお焚き上げ
 仏壇・仏具、位牌等を処分する際にも、お焚き上げが行われます。これは仏壇・仏具に宿る魂を抜いて処分するという意味が込められた風習です。この行事のことを、魂抜き、性根抜き、閉眼供養などと言います。これらのお焚き上げは一般的に寺院で行われます。

 寺院で行う仏壇・仏具のお焚き上げは有料で、おおむね1万円から5万円程度のお布施が必要です。この料金にはお焚き上げの実費のほか、寺院へのお布施の料金も含まれます。仏壇・仏具のお焚き上げは専門業者も営んでいます。

 位牌のお焚き上げは自分で行うことも可能です。当然ながら、自分で行うお焚き上げは無料です。


●170-3 遺品整理とお焚き上げ
 お焚き上げを日本における伝統文化と拡大解釈して、故人の遺品などをお焚き上げで燃やす行為が最近聞かれます。そもそもお焚き上げは、魂が宿るものを火にかけることで魂抜きをする行為でした。仏壇・仏具、神棚、位牌、御守などのほか、数珠、御札、人形、写真、年賀状、手紙などいろいろな遺品をお焚き上げの対象とするようになっています。場合によっては、お焚き上げをしないといつまでたっても遺品から魂が抜けない、と言われることもあります。

 残された家族が故人の遺品を整理することには、故人が大切にしていたものは供養してあげたい、故人の思い出の遺品はゴミとして処分するのは忍びない、といった故人への思いが複雑に絡みます。いつまでも遺品をそのままに保管できないといった遺族の気持ちもあります。そのため、なかなか遺品整理が進まないといった話を耳にします。そのようなとき、遺品整理のためのお焚き上げを活用してみてはどうでしょうか。

 遺品整理業者にお焚き上げを依頼した場合、料金はダンボール箱1箱につき5,000円程度かかります。仏壇や神棚などのお焚き上げも可能です。その場合は、一つにつき3万円程度の料金がかかります。

 故人の遺品が残っていてなかなか処分できないというときは、お焚き上げで魂抜きをしてしっかり供養してみてはいかがでしょうか。




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