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第167回 散骨は違法?合法?


散骨
●散骨は散骨場のイメージの毀損や衛生面の問題などから、自治体の条例で制限があることや、散骨ができない自治体もあります。また、遺骨の粉砕や散骨の方法に注意を払わないと、法律違反となってしまう場合もありますので注意が必要です。

●167-1 散骨と法律
 遺骨を粉砕して山、海、空に撒くことを散骨と言います。近年、出費が多く、後々の維持費用もかかる墓地・霊園への埋葬に代えて、散骨を選ぶ人が増えています。散骨なら、墓守(はかもり)などの管理者も必要ありません。

 ところで、遺骨を勝手に粉砕して自由に撒いたりして、法律で罰せられないのだろうか?と心配になる人がいるかもしれません。遺骨の粉砕については、刑法に「死体、遺骨、遺髪または棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、または領得した者は3年以下の懲役に処する」とあります。また、墓地・埋葬に関する法律では、「埋葬または焼骨の埋葬は、墓地以外の区域にこれを行ってはならない」とあります。

 2015年東京都で、食料品店の化粧室に遺骨を捨てた人が刑法違反容疑で書類送検されました。結果、この人は遺骨を粉砕せずにそのままの状態で他人の私有地に無断で撒いたことが遺棄罪と器物損壊罪に当たるとして逮捕されました。

 一方、法務省は「葬送を目的として、個人が節度を持って実施する散骨は遺棄罪には当たらない」とする見解を発表しています。大原則は、粉骨です。遺骨を2mm以下の粉末状に粉砕しなければ散骨にはならず、遺棄罪とされる可能性が高いでしょう。なお、厚生労働省も墓地・埋葬に関する法律は散骨をその対象としていないとしています。

 以上のことから、散骨は、違法のケースもあれば合法のケースもあるという曖昧な結論になっているのが現状です。

●167-2 散骨と条例
 さて、法務省の見解では「個人が節度を持って実施する散骨」は法令違反とはならないことが確認されています。では、事業者が行う商用の散骨はどうなのでしょうか。例えば、静岡県御殿場市では「御殿場市散骨場の経営の許可等に関する条例」を制定し、他県の事業者が御殿場市内で散骨を行うことを禁じています。また、静岡県熱海市、伊東市では、海洋散骨に関するガイドライン(指針)を策定し、観光地としてのイメージが風評被害で毀損しないようにするための海洋散骨事業に対する厳しいルールを設けています。このように、散骨は自治体の条例で厳しく制限されている場合があるので注意が必要です。


●167-3 所有地への散骨は可能
 商用ではなく、あくまで個人の立場で自己所有の土地に散骨を行うことは可能です。そもそも、散骨が問題となるのは、公になった場合の散骨場近隣のイメージ低下や衛生面の懸念が大きいと思われることによるものです。散骨はできるだけ自己所有の土地に行うようにしたいものです。

 個人での散骨は可能ですが、その際に、穴を掘って埋めたり、埋めた場所に墓標を立てたりすると、その土地は墓地となってしまい、墓地・埋葬に関する法律に抵触してしまいますので、くれぐれも気をつけてください。墓地以外での樹木葬も同じです。樹木のまわりに粉骨を撒くだけなら構いませんが、樹木のまわりに穴を開けて、そこに埋葬してしまうと、法律違反となりますので注意が必要です。

 また、散骨してしまうと、故人として残すものがなくなってしまいます。そこで、遺骨の全てを粉砕して散骨するのではなく、遺骨の一部は残しておき、手元供養するようにしておきましょう。




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