葬儀相談コラム
第165回 葬儀についてのアンケート調査
●葬儀に関する直近のアンケート調査によると、葬儀費用の合計は195.7万円。3割強が家族葬で、首都圏では直葬の割合が増加しているようです。最新の葬儀の傾向について、地域性も踏まえながらアンケート結果から読み取ることにします。
●165-1
一般財団法人日本消費者協会では、葬儀・埋葬の現状と消費者がこれからの葬送についてどのように考えているかを調査した「葬儀についてのアンケート調査」を実施しています。本調査は3年に1回行われており、2017年1月に最新の調査結果が発表されました。そこで、今回は調査結果のポイントについて紹介します。
はじめに、前回調査(平成25年)と今回調査(平成28年)の違いについて見ていきます。
・ポイントその1 身内の葬儀経験の有無が増加している
「最近3年以内の身内の葬儀の経験の有無」について、7.7%増加し、43.3%となりました。葬儀の執行地区は埼玉・東京・神奈川の関東地区が最も多く21.3%、次いで新潟・富山・石川・福井の15.8%、山梨・長野・岐阜・静岡・愛知の12.0%と続いています。
・ポイントその2 葬儀の相談先は葬儀社が増加している
葬儀経験のある人に葬儀について「誰に(どこに)相談したか」を尋ねたところ、親族が76.0%、次いで葬儀社が54.3%となりました。それ以外では、介護施設や老人ホームの紹介や相談という回答も見られました。前回調査に比べると、葬儀社への相談が増えています(前回18.4%)。
・ポイントその3 葬儀の依頼先は葬儀社だが農協・生協の割合も増えている
葬儀の依頼先は1位が葬儀社で66.5%、2位が冠婚葬祭互助会で15.4%、3位が農協・生協等の葬祭部で7.8%となりました。前回調査に比べると葬儀社が減り、農協・生協等の葬祭部の割合が増加しています。
・ポイントその4 家族葬の割合が高い近畿地区
葬儀の形式については、全体で見ると一般葬が56.6%、家族葬が35.4%となりました。家族葬の割合が高いのは三重・滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山の近畿地区で58.8%。逆に一般葬の割合が高いのは新潟・富山・石川・福井の78.1%、次いで青森・岩手・秋田・宮城・山形・福島の71.7%でした。なお、直葬が最も多いのは埼玉・東京・神奈川の5.8%となっています。
・ポイントその5 葬儀の困りごとは「心付けやお布施」「接待の仕方」「葬儀の手順」
葬儀の困りごとについて、全国的に共通しているのは「心付けやお布施の額」(35.5%)、「通夜・告別式の接待の仕方や手配」(22.6%)、「葬儀の手順がわからなかった」(21.8%)でした。他には葬儀社の説明や対応、宿泊施設の問題、葬儀社との思いの違い、無宗教葬儀に対する戸惑いなどが挙げられています。
●165-2 葬儀費用の合計額は195.7万円
通夜からの飲食接待費、寺院への費用、葬儀一式費用をあわせた葬儀費用の合計は195.7万円となりました。葬儀費用の合計額は前回調査まで減少傾向にありましたが、今回調査は前回対比プラスの7万円という結果になりました。195.7万円は平均値です。最低額12万円、最高額は800万円と、葬儀にかかる費用には幅があるようです。
葬儀費用の合計額について地区別に見ると、山梨・長野・岐阜・静岡・愛知が245万円と最も高く、次いで茨城・栃木・群馬・千葉の238万円、新潟・富山・石川・福井の227万円となっています。反対に少なかったのは北海道の154万円、四国の156万円、九州の166万円でした。
今回調査では前回調査に比べて、葬儀に対する故人の遺志の尊重の気持ちが大きくなっていると指摘されています。自分の葬儀のあり方について家族任せにせず、家族にしっかりと伝える時代になっていると言えるでしょう。逝く人と残る人双方にとって納得のいく葬儀を行うためには、十分な話し合いと相互理解が大切です。元気なうちから自分の葬儀の準備をするという傾向が今後ますます強まっていくことが予想されます。
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