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第162回 リビングウィル



リビングウィル
  ●リビングウィルとは、終末期の医療において本人が望まない延命治療や措置を施さないことを書いた終末期宣言書のことを言います。自分らしい最期を迎えるためにも、延命治療を行うかどうか、エンディングノートに書き残しておきましょう。

●162-1 リビングウィルとは
 リビングウィルとは、直訳すると生前の意思のこと。終末期の医療において本人が望まない延命治療や措置を施さないことを書いた終末期宣言書または事前指示書のことを言います。同じく生前に意思を残すものとして遺書があります。遺書は亡くなったあとに個人の財産を引き継ぐ相続人に対して効力が発生します。これに対し、リビングウィルは、生きているものの重いケガや病気などで快復の見込みが立たず意思表示ができなくなったときに、終末期の治療のあり方について効力が発生するものです。

 終末期の延命治療には、自力で呼吸ができないときに使用する人工呼吸器、心肺を蘇生させるための心臓マッサージ、通常の点滴よりも十分な水分や栄養補給を行って延命を行う高カロリー輸液、体外から直接胃に水分や栄養を入れる胃瘻(いろう)など、さまざまな種類があります。

 通常、快復の見込みのない終末期において主治医は、本人に延命治療を行うかどうかの意思確認を行います。命に関わることですので、その判断は大変重いということは言うまでもありません。本人の意思だけでなく家族の同意も必要になる場合があります。この時の本人や家族にとっての心理的な負担は計り知れません。もちろん、主治医が勝手に延命治療を行うかどうかの判断をすることは絶対にありません。

 もし、延命治療を拒否せずに治療が継続した場合、快復の見込みのないままただ生存しているだけの状態を長い期間続けなければならないこともあります。しかも、ひとたび延命治療を開始すると、それを途中でやめることはできません。そうした状態を回避するためにも、元気なうちに終末期宣言書を書いておき、万一の時の終末期医療に役立てようという人が増えているわけです。

●162-2 終末期宣言書の書き方
 終末期宣言書は難しくありません。例えば、次の5つの項目について意思表示を行います。

(1)人工呼吸器、心臓マッサージ等生命維持のための最大限の治療を希望する(または、しない)。
(2)人工呼吸器などは希望しないが、高カロリー輸液や胃瘻などによる継続的な栄養補給を希望する(または、しない)。
(3)継続的な栄養補給は希望しないが、点滴などによる水分補給は希望する(または、しない)。
(4)点滴などによる水分補給も行わず、自然に最期を迎えたい。
(5)治療の判断を(家族などの氏名)に委ねる。

 以上の5項目について明確に意思表示を行うことを宣言します。本人の意思表示に加えて家族の同意があることを署名にて証明します。さらに、これら宣言書について理解をしたことを医師にも伝えて署名をしてもらいます。これで終末期宣言書は整います。なお、終末期宣言書に法的効力はありません。宣言後に何度も自由に書き換えることが可能です。

 終末期の主治医は、この終末期宣言書に則って、本人の意思を最大限尊重した治療を行うことになります。


●162-3 延命治療の問題点
 終末期宣言書を書く人が増えてきているものの、日本ではまだ延命治療そのものの定義が明確ではなく、本人の意思だからといって医師が治療をストップしてしまってよいのかどうかの明確な決まりはありません。また、重篤な状態で本人の意思が確認できないとき、家族がどうしても延命治療を望みたいというようなときの対応も、すべてを終末期宣言書で解決するというわけにもいきません。まだまだ様々な問題がある終末期の延命治療ですが、本人、家族、医師の三者が本人の意思表示をしっかりと共有しておくことが何より大切です。

 エンディングノートには、これら終末期の延命治療に関する意思を書き残す欄が設けられています。一度、家族と相談しながら、終末期宣言書を書き残しておくことをおすすめします。。
 





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