葬儀相談コラム
第146回 ご遺体の安置
●病院等で亡くなってから火葬までの間、故人のご遺体を自宅に帰らずにご遺体安置施設に置くことが増えてきました。その際のドライアイスを使った冷却の仕方やかかる費用について紹介します。
●146-1 ご遺体安置施設の利用
病院で亡くなった場合、その翌日に通夜を行い、さらにその翌日に葬儀をするのが一般的でした。ところが、最近は首都圏などの人口密集地において亡くなる人の数が多く火葬場の予約が取れないために、亡くなったあと3日から1週間程度、火葬までに日数がかかることが珍しくはありません。その間は、自宅もしくはご遺体を安置する施設に置かなければなりません。
近年、「自宅が狭いから」「集合住宅だから」「近隣の人に知られたくないから」「高層階だから」「故人を自宅に置いておきたくないから」などの理由で、ご遺体を自宅に置かないケースが増えています。その場合は、葬儀業者に依頼して、ご遺体安置施設で保管することができます。
ご遺体安置施設の料金は、一般的に遺体安置料として1日当たり5,000円〜10,000円、ご遺体を冷却するドライアイス(10kg)が1日当たり10,000円程度、これ以外に面会室等の施設の利用料金が加算されます。ご遺体安置施設に1週間置いておくだけで10万円程度の費用がかかることもあります。加えて、葬儀業者に手配を任せる際には、ご遺体安置施設の利用のほか、ご遺体を移送する寝台車の料金も発生します。葬儀費用を検討する際には、ご遺体安置にかかるこれらの費用も考えておきましょう。
ご遺体安置施設の利用については、葬儀費用全体の中に組み込まれているケースがありますが、葬儀業者によっては、ご遺体安置施設の利用だけを請け負うところもあります。亡くなってから安置するまでの短い時間で情報をそろえて判断することはたいへんですので、あらかじめどのように対処するか、元気なうちから検討して決めておくとよいと思われます。。
●146-2 ドライアイスによる冷却
ご遺体はそのままにしておくと腐敗します。ご遺体の腹部が緑色に変色する場合は腐敗性の変色と言われ、臓器の腐敗によるものです。腐敗が始まると腐敗臭が発生しそれが全身に広がります。腐敗の原因は細菌の繁殖によるものですが、これは0℃まで冷やさないと腐敗の進行を抑えることができません。したがって、ご遺体安置施設で冷蔵施設に保管する場合は、0℃まで冷やすか、加えてドライアイスで腹部を冷却するなどの処置を行う必要があります。納棺後に保管する場合は冷却しにくくなりますので、その場合はドライアイスの量を増やすことが必要になります。
腹部の腐敗の進行を遅らせるためにも、ドライアイスは直接ご遺体に装着します。浴衣など装束を身に付けている場合も冷却しにくくなりますので、ドライアイスを多めに使います。腐敗の進行には個人差や気温等の影響がありますので、状況に応じてドライアイスを追加して利用することが望まれます。
ドライアイスは、お腹を中心に、下腹部、胸部、側腹部、頭部、内腿などにも置く場合があります。ご遺体に直接置くと、その部分が赤く変色したり、冷却が強すぎて凍ってしまうことがあり、湯灌(ゆかん)ができなくなることもありますので、気をつけてください。ドライアイスで腹部が凍結したら、それ以降は凍結を維持するだけになりますで、ドライパック等に包んで装着します。
ご遺体安置施設の保冷庫を利用できない場合や自宅に安置する場合は、エアコン等の温度を下げて、室温をできるだけ低温に保つようにしてください。夏場など気温の高いときは、ご遺体安置施設の保冷庫を利用するようにしてください。
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