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第144回 過去帳でルーツを探る



過去帳
  ●過去帳とは、家々の故人の俗名、戒名、法名、亡くなった年月日、亡くなった時の年齢などを記しておく帳簿のことで、故人の月命日などに開いて供養をする仏具の一つです。また、過去帳は家系図です。過去帳をたどれば、江戸時代の初期まで先祖をたどることも可能です。

●144-1 過去帳とは?
 過去帳とは、家々の故人の俗名、戒名、法名、亡くなった年月日、亡くなった時の年齢などを記しておく帳簿のことで、別に鬼簿、点鬼簿、鬼籍、冥帳など呼び方はいろいろあります。和紙が綴じられた和本、または横長の和紙を畳んだものなどが一般的です。和紙のほか、古いものでは布や唐木の黒檀や紫檀などに書かれたものもあります。

過去帳には、寺院が保管するものと家々で保管するものがあります。家々で保管する過去帳は、過去帳台の引出しまたは仏壇の中にしまっておきます。故人の月命日には仏壇の見台に飾ります。

過去帳の起源は、8〜9世紀ごろまでさかのぼると言われています。当初は寺院における名簿として使われていました。江戸時代に入ると檀家制度が始まり、檀家それぞれに過去帳が作成されるようになりました。現在もその風習が伝わっているわけです。寺院にある過去帳には、地震、津波、疫病、戦死など、亡くなった原因が記されたものもあります。古い過去帳は当時の人々の生活をうかがい知る手がかりになることもあり、貴重な資料となるものがあります。

過去帳は位牌と同じように、故人を追悼するための仏具でもあります。たんなる先祖代々の記録としての家系図というより、故人の魂を寄せたものとして供養の対象ともされ、子々孫々に至るまで、永続的に守られていくものです。

●144-2 ルーツの探り方
 ところで、日本で初めて戸籍制度がスタートしたのは、1872年(明治5年)です。本籍を住所地とし、戸を編成単位としていました。その3年後、平民苗字必称義務令が公布され、すべての国民が苗字を名乗ることが義務付けられました。戸籍制度ができる以前は、江戸時代に幕府や寺社が作成した人別帳や過去帳が、戸籍の代わりとして使われていました。つまり、私たちのルーツは、少なくともこの幕末・明治の頃まで、さかのぼって調べることができます。

家系のルーツを探るときは、まず戸籍を調べます。本籍地と筆頭者がわかれば、市区町村の自治体窓口で調べることができます。自分の名字につながる先祖は、戸籍謄本を代をさかのぼりながら請求していくと家系がつかめます。

明治初期の戸籍まで判明したら、それより古い家系は過去帳で調べます。古い過去帳は、本家が代々引き継いでいるか、菩提寺に保管されていることがありますのでたずねてみましょう。江戸時代は人の移動に制限があったうえに、お寺を変えることができませんでした。そのため、江戸時代の過去帳を見ることができれば、江戸時代の初期の頃までさかのぼることも可能です。

過去帳でルーツを探るほか、先祖が武士であった、商人であったなどが名前で分かる場合もあります。菩提寺、家紋、お墓などからさかのぼることも可能です。これらの調査には、専門的な知識が必要になります。ルーツの調査を専門に行っている事業者もありますので、相談してみることをおすすめします。

なお、苗字には、旧字体などが使われますが、明治初期の平民苗字必称義務令のときに間違って表記したり、表記したものがこすれて見えなくなってしまったなどで、正しい漢字ではない苗字が後世に残っていることがあります。したがって、明治初期の当時の戸籍をあまり信用しなくてよいとされています。ルーツを探る際には、戸籍、過去帳などを見比べながら、正しい苗字を探り当てていきましょう。
 





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