葬儀相談コラム


第136回 海洋散骨の注意点


海洋散骨
  ●散骨とは、火葬したあとの焼骨をパウダー状に細かく砕いて、海、山、空などにまく葬送の方法で、近年、自然葬のひとつとして注目を集めています。海洋散骨は、海にまく散骨の方法ですが、自治体によって禁止または制限を受ける場合がありますので、散骨の場所や方法について注意しましょう。

●136-1 海洋散骨とは?
 散骨とは、火葬したあとの焼骨をパウダー状に細かく砕いて、海、山、空などにまく葬送の方法で、近年、自然葬のひとつとして注目を集めています。海洋散骨は、海にまく散骨の方法です。

海洋散骨をするときは、火葬までは通常の葬送の手順と同じです。焼骨の粉骨から船の手配、出港、散骨、献花、寄港、実施証明書の発行まで、散骨業者が行います。海洋散骨にかかる料金は船の大きさ等によりますが、5万円以上30万円程度を見込んでおきましょう。

なお、焼骨後に葬祭業者に拠らずに自身で粉骨して散骨することも可能ですが、あまりおすすめできません。海に限らず散骨は「墓地、埋葬等に関する法律」に違反しているとする考え方があると同時に、地域・海域によっては散骨が自治体により規制されている場合があるからです。散骨を希望するときは、どのような方法でどの場所に散骨するか、専門家に相談して事前に調べたうえで行うのが得策でしょう。

●136-2 海洋散骨の規制と注意点
 海洋散骨については、自治体が規制している場合があります。たとえば、神奈川県熱海市は、平成27年7月に「熱海市海洋散骨事業ガイドライン」を策定して、散骨事業者に対する規制を公開しています。

同ガイドラインによると、海洋散骨を行う場合は「熱海市内の土地(初島含む)から10キロメートル以上離れた海域で行うこと」「海水浴やマリンレジャーのお客様の多い夏期における海洋散骨は控えること」「焼骨をパウダー状にし、飛散させないため水溶性の袋へ入れて海面へ投下すること」「環境保全のため自然に還らないもの(金属、ビニール、プラスチック、ガラスその他の人工物)をまかないこと」「事業を宣伝・広報する際に熱海沖、初島沖など熱海を連想する文言を使用しないこと」などが事業者に求められています。このような規制の背景には、海洋散骨に関する法的位置づけが明確ではないことや、熱海市民の生活環境の保全や漁業・観光産業の関係者とのトラブルの防止などの配慮が挙げられます。

静岡県伊東市においても、平成28年2月に「伊東市における海洋散骨に係る指針」が策定・公表されています。同指針では「海洋散骨の適正化を図り、もって公衆衛生、国民の宗教的感情、利用者の保護、経済的影響等の観点から、公共の福祉に支障を生じさせない」としています。伊東市においても「伊東市内の陸地から6海里(約11.11キロメート)以内の海域で散骨しないこと」「環境保全のため自然に還らないもの(金属、ビニール、プラスチック、ガラスその他の人工物)をまかないこと」「宣伝・広報に関し伊東沖、伊東市の地名など、伊東を連想する文言を使用しないこと」が求められています。これらの例にあるように、自治体によっては海洋散骨を制限するケースがありますので、気をつけてください。

●136-3 粉末化が散骨の条件
 そもそも焼骨を骨壺から取り出してそのまま土地に埋めたり庭にまいたり海にまいたりするのは法律に違反します。ただし、焼骨を粉末にしてまいた場合は必ずしも法律に違反しません。法律に違反するかどうかの境目は焼骨を粉末にするかどうかですが、陸地または海洋に限らず、遺骨の埋葬には地域住民や商工業者による反対が伴うのが常です。自治体の中には散骨禁止条例を策定し、違反した場合は懲役刑や罰金刑をともなう例もあります。散骨が人気だからといってどんな方法も許されるわけではない点に気をつけましょう。
 





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