●お葬式や法事などに参列する際の男性のフォーマルな革靴は、内羽根式、ストレートチップ、黒色が基本です。革靴の脱ぎ方や履き方にもエチケットがあります。 ●131-1 内羽根式のストレートチップ 革靴には種類があり、ビジネスから冠婚葬祭までさまざまなシーンで使い方は異なり、その場にふさわしい革靴というものがあります。お葬式の場合の革靴は、内羽根式、ストレートチップ、本革もしくは合成皮革、黒色がベストです。 ・内羽根式 内羽根式とは鳩目(靴ひもを通す穴)が足の甲の部分と一体化しているか、甲の前の部分に潜り込んでいるタイプです。外羽根式は逆に鳩目が甲の部分と一体化しておらず乗っかっているタイプです。 内羽根式の起源は英国の王室にあります。19世紀初頭のヴィクトリア女王の夫であるアルバート公が考案したものと伝わっています。外羽根式に比べて見た目がエレガントで、フォーマルな場における革靴として普及しています。ちなみに、外羽根式は狩猟や戦闘などに適した革靴とされています。 内羽根式の革靴の靴ひもは、平行に並べるパラレルまたはシングルで結びます。靴ひもの結び目は斜めにせず、平行に見えるようにしてパーフェクトに仕上げます。靴ひもは汚れたり痛んだりしたら新しいものと取り換えて、常に美しい姿にしておくこともエチケットの一つです。 ・ストレートチップ 革靴は、つま先(トウ)のデザインでフォーマルの度合いが異なります。もっともフォーマル度が高いのがストレートチップです。トウの部分に横に一文字の縫い目のラインがあるのが特徴です。ラインから先のトウの部分に光沢のある革を使っている場合もあります。ストレートチップの中でも黒革のものを略して黒ストと呼んでいます。 革靴を長く履いていると履きじわができて革が波打ってきますが、ストレートチップの革靴はトウのラインより前に履きじわがつかないため、美しさが保たれるのが特徴です。 トウの形状にはほかに、プレーントウ、パンチドキャップトウ、ウィングチップなどがありますが、冠婚葬祭の礼装用としては、ストレートチップまたはプレーントウを選択します。金属などの付属物のあるものや、模様のあるものは避けましょう。 ・本革もしくは合成皮革 革靴の素材は、本革もしくは合成皮革を選びます。なお、本革は殺生を連想させるため避けるという考え方もありますが、本革で構いません。また、革靴と同時にベルトも本革もしくは合成皮革で合わせます。カジュアル性の強いスエードやアニマル調、エナメルなどの輝きのあるタイプは避けましょう。 革靴の底(ソール)にも種類があります。大きく分けると、レザー底とゴム底があり、フォーマルではレザー底が一般的です。レザー底は歩いたときに足の裏側から伝わる感触がゴム底とは全く異なる高級革底です。通気性が高く蒸れにくく弾力性があります。反面、雨が染み込みやすく水分に弱いというデメリットもあります。そのぶん手入れも必要になります。 ・黒色 革靴の色は黒です。茶色はマナー違反となりますので気をつけてください。靴の中敷きも黒やグレーなどがベストですが、地味な色であれば構いません。靴下も黒です。くるぶしよりも上まで隠れる長いタイプを選びましょう。 ●131-2 革靴の履き方・脱ぎ方 革靴は必ず紐を解いてゆるめて脱ぎます。このとき、かかとをすり合わせて脱いではいけません。かかとに跡がついてしまい、皮が傷ついてしまいます。必ずかかとを手で押さえて脱ぎます。履くときと同じように靴ベラを差し込んで足を抜いても構いません。 履くときには靴ベラを使い、片方の手で靴のべろを押さえて足を滑り込ませます。足を入れたら、靴ひもを下から順に締め上げて紐を結びます。靴を脱いで上にあがるときは、後ろ向きで靴を脱ぐ人がいますが、前向きで靴を脱いで、上がってから脱いだ靴を外向きに整えるのがマナーです。 |