●四十九日の法要が過ぎてから初めて迎えるお盆のことを新盆と言います。新盆では、いつものお盆よりていねいに供養を行います。新盆の作法について紹介します。 ●126-1 お盆とは? 服喪の期間(四十九日の法要など)が終わる忌明け(きあけ)が過ぎてから、初めて迎えるお盆のことを新盆(にいぼん)と言います。新盆では、いつものお盆よりていねいに供養を行います。 お盆とは、盂蘭盆会(うらぼんえ)のことで、もとは仏教や道教の儀式を表しています。語源は、サンスクリット語のウランバーナ(逆さ吊りの苦)とイラン語系のウラバン(死者の霊魂)があり、お盆の期間には、食物などを供え、亡霊を苦界から救うことを願います。日本における盂蘭盆会は、推古天皇14年(606年)の記録が古く、のち先祖供養や祖霊来訪の民俗信仰と集合して、現在では各地でさまざまな行事が行われています。 お盆の期間は、毎年8月13日から16日まで。その間は、先祖や故人が現実世界に戻ってくるとされ、そのときにお迎えをするのがお盆です。忌明けの前にお盆が来てしまうときは、翌年が新盆となります。 ●126-2 新盆の作法 新盆に際しては、まず早めに盆棚を設けます。盆棚は先祖の霊をお迎えするために作られる棚で、仏壇の前に置かれます。盆棚の中央に位牌を置きます。お盆には提灯を飾ります。新盆の場合は絵柄のない白張提灯(しらはりちょうちん)を使います。 仏教では仏様の知恵を光で表します。そこで仏様にお灯明を捧げて供養するという習わしがあります。お盆には、お墓の前でおがら(麻の茎)を焚いてその火を提灯にうつし、それをもって家までご先祖様を案内します。一方では家の門前で迎え火を焚いてその火を提灯にうつして軒先につるして、ご先祖様の目印にして家の者がお迎えするといったお盆の迎え火の行事があります。 盆棚には決められたお供えのほか、故人の好きだった料理やモノを供え、近親者を招いて僧侶に御経をあげてもらいます。ちなみに、盆棚に飾るお供えは香、灯燭、花、浄水、飲食で、これらは五供と呼ばれます。 新盆に招かれた場合、最も近い近親者は、白張提灯を送るのが習わしで、ほかの親戚は普通の盆提灯を送ります。最近は提灯を飾らないことも多いので、「御仏前」「お提灯代」「御供」として金包みにしてもよいとされています。 新盆に参列する際には、喪服または礼服を着用します。施主から地味な服装で構わないと連絡を受けたときは、できるだけ黒の地味な服装で参列しましょう。 新盆に参列すると、お返しとして「志」「新盆志」と表書きをしたお返しをいただくことがあります。お盆は夏の時期ですので、お茶、そうめん、水菓子などが一般的です。これらのお返しをいただいた際には、その御礼として礼状を送りましょう。 ●165-3 新盆のお墓参り 新盆に際しては、13日の盆の入り(迎え火)と16日の盆明け(送り火)の2回、お墓参りをして供養するのが一般的な習わしです。ただし、地域や慣習によって、お墓参りを1回で済ませる場合もあります。 通常のお盆のお墓参りは、13日の盆の入りに行います。13日が忙しいときは16日の盆明けまでの期間で、お墓参りを済ませましょう。 なお、そもそもお盆の行事は仏教のものではなく、日本において独自の民間習俗として長い歳月を経て出来上がったものです。したがって、本来、お盆の行事は、仏事や神事などの宗教行事にはこだわらずに、思いのままに執り行ってかまいません。迎え火や送り火なども、仏教宗派によっては行わないところもあります。年に一度、夏休みのこの時期に故人を偲ぶ期間として、お盆を過ごしてみてはいかがでしょうか。 |