葬儀相談コラム


第120回 検体



検体
  ●検体とは、医学や歯学の大学での研究に役立ててもらうために、自分の死後の遺体を無条件・無報酬で研究機関に提供することをいいます。検体を希望する人の数年々増加しています。

●120?1 検体とは?
 検体とは、医学や歯学の大学での研究に役立ててもらうために、自分の死後の遺体を無条件・無報酬で研究機関に提供することをいいます。

 検体を希望する人の数は年々増加しています。現在、日本には検体篤志家団体が61団体あり、検体登録者の総数は25万人を超えています。このうちすでに検体された人の数は約11万人に達しています(平成25年3月現在)。

 検体された遺体は、正常解剖と呼ばれる人体の構造を調べるための解剖に提供されます。医学教育における解剖学実習など、医学・歯学教育の基礎段階に貢献することになります。

 検体の登録は、検体篤志家団体(検体の会)のほか、医科または歯科の大学に直接申し込みます。大学付属の大学病院は窓口とはなりません。登録の手続きは、まず住所地の都道府県にあり医科または歯科の大学に問い合わせます。すると、各窓口から検体登録に関する申込書を送ってもらえます。申込書に必要事項を記入して捺印し、窓口に返送します。

 申込みにあたっては、肉親の同意が必要になります。同意を得る肉親の範囲は、配偶者のほか、同居別居を問わず、親、子、兄弟姉妹です。身寄りのない人で肉親の同意を得られない人でも検体の登録は可能です。

 検体の登録者数は、各大学によって大きく差があり、検体登録者数の多い大学では登録申込の見合わせを行っているケースもあります。

 また、生前の病気や手術痕などがあっても検体を受けることは可能です。臓器提供を行うときは検体を受けられないこともありますので、検体と臓器提供を分けて意思表示を行っておくとよいでしょう。

●120?2 検体登録証とエンディングノートの活用
 検体登録申込書を提出すると、検体登録証を送ってもらえます。検体登録証には検体先大学名と亡くなったときの連絡方法などが記載されています。検体登録証は、亡くなった人の検体の意思を証明するものですので、なくさないように大切に保管しておきましょう。

 生前に検体の登録を行っていた事実を家族に知らせておきましょう。登録時に口頭で伝えておくほか、エンディングノートの検体希望欄に書き入れておき、検体登録証をエンディングノートに挟んでおくとよいでしょう。また、長期の旅行や外出などの際は携帯して、検体登録の事実を亡くなった後にわかるようにしておきましょう。

●120?3 検体の実施
 検体を登録していた人が亡くなったら、遺族または身近な人が検体登録証に記載された検体登録大学の連絡先に、直接電話して登録者が亡くなったことを伝えます。電話の際には、葬儀の日時のほか、葬祭の予定のほか遺族の対応方法について大学に伝えて、その後、大学に登録者のご遺体を渡します。

 ご遺体を渡すのは、葬儀の後でかまいません。通夜・告別式、出棺のあと、大学に渡されます。なお、大学へのご遺体の移送費と検体後の火葬費用は大学側が負担します。

 検体が終わり火葬されると遺骨は遺族に返還されます。返還されるまでの期間はその時々で異なります。通常は1年から2年、3年以上かかる場合もあります。返還までの期間が長いのは、防腐処理等の解剖準備、解剖学実習期間、検体のご遺体の保管期間などの理由からです。なお、各大学では、検体された方々を供養するために、慰霊祭が行われています。
 





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