●親の住む家で親の身の回りの整理を行うことを親家片(おやかた)といいます。親家片は、親と子で親が遺したいモノなどをともに理解する行動で、いま終活の取組みとして注目を集めています。 ●118?1 親子で家を片づける 親の住む家で親の身の回りの整理を行うことを親家片(おやかた)といいます。親家片は、親と子で親が遺したいモノなどをともに理解する行動で、いま終活の取組みとして注目を集めています。 親と子が別々に暮らしていることもあれば、二世帯、三世帯で一緒に暮らしていることもあるでしょう。どちらの場合でも、高齢の親が身の回りのモノの整理をする話はよく耳にします。 もしも、モノが整理されていないままに倒れると、どこに何が置いてあるかが分からずに、緊急の対応ができないことも起こり得ます。入院の準備、かかりつけ医の連絡先、常用している薬の置き場所、銀行口座の通帳やキャッシュカードの置き場所など、いざというときに頼れる人にわかるようにしておきたいものです。親家片の一番目のポイントは、もしものときに必要なモノの整理です。 いざというときに必要なモノを取り出せるようにするためには、不要なモノを置かないシンプルな生活空間を日ごろから心がけることが何よりも大切です。ところが、ムダなものが嫌いな高齢者ほど「もったいない」という意識が強いために、家の中が不用な日用品や雑貨だらけになっていることが少なくありません。高齢になると、少しの障害物や段差でもつまずいて転倒してしまい、寝たきりになることもあります。少なくとも、家の中の生活導線上に不用なモノを置かないように気をつけたいものです。 万一、亡くなったとき、家の中のモノは遺品となります。遺品が多すぎて整理・片づけに苦労したという話もよく耳にします。遺品の数だけではありません。残すべきか捨てるべきか、その価値を判断できないモノがあると、それも片づけに時間がかかる原因となります。 こうしたことから、生前の元気なうちに、身の回りのモノを整理する終活が注目されています。 ●118?2 親家片は慌てず、急がず、騒がず、ゆっくりと 誰もが生前にモノの整理ができればよいのですが、子と離れて暮らしている、身体が弱くなって片づけが進まない、認知症で片づけそのものができず逆にモノが増えてしまっているなど、加齢が進むにつれ、頭の中ではわかっていても身体がついていかなくなるものです。そこで、どうするか。片づけられない親のモノを子が整理することになります。 ところが、自分のモノは他人に触られたくないと思うのも人情です。片づけの苦手な人ほどその傾向が強いようです。親子の関係といっても、親の持ち物を子が勝手に整理することはなかなか難しいというのが実情です。また、子が片づけをしようとしたとたんに、「私が死ぬとでも思っているのか」とご機嫌ななめになってしまう人もいると聞きます。 周りの人からはどう見てもガラクタにしか見えないモノでも、本人にとっては大切なモノであったり、想い出がこもったモノであったり、本人にしかわからない価値があるかもしれません。「なにこれ、いらないでしょ」「こんな不用なモノをとっておいちゃダメ」「早く捨てて」など、否定的な言葉を使ってはかえって逆効果。親家片をすすめるときは、急がずゆっくり整理をしましょう。一つ一つのモノを手にしながら、親子間で語り合いながら片づけることをおすすめします。 ●118?3 親家片は終活 一般的な整理収納、片づけと親家片は意味が少し違います。親家片は高齢の方が亡くなったあと家族に迷惑を掛けないための片づけです。ただモノを片づけるだけではありません。絵画や書画、骨董など文化的経済的に価値のあるモノ、掛け軸など先祖代々引き継がれてきた家にとって大切なモノ、賞状やトロフィなど亡くなった方の生前の偉業を証明する貴重な証拠など、安易に捨てられないモノもあります。これらを捨てずに引き継ぐことも親家片です。 何を残して何を捨てるか。親家片は時間がかかる作業です。何よりも本人が元気なうちに取り組むことが大切です。こんどの盆休み、帰省したときに親の持ち物に関心を持ってみませんか。普段のコミュニケーションが親家片をはじめる第一歩です。 |