葬儀相談コラム


第111回 高齢者の身元保証



高齢者の身元保証 ■111-1 身元保証契約
 単身の高齢者が一般の賃貸住宅や、老人ホームなどの高齢者施設に入居するときには、身元保証人がいなければ契約できないことがあります。身寄りがなく身元保証人がいなくて入居したくてもできない高齢者が増えています。そうしたなか、入会金や年会費を払うことで身元保証をしてくれる団体が注目を集めています。
身元保証契約では、高齢者施設入居時の身元保証、施設退去時の身柄の引き取り、保有資産の確認、施設退去時の残置物の搬出・整理・原状回復などを業として行ってもらえます。身元保証契約は、入会金(預託金)が50万円から100万円程度、年会費が10万円以上と決して負担は軽くありませんが、身寄りのない高齢者にはありがたいサービスです。身元保証のほか、定期的な見守りサービスや、亡くなった後の葬儀や納骨の支援や事務支援をセットでサービス提供している事業者もあります。





■111-2 身元保証事業者の経営破たん問題
 平成28年3月、身元保証の事業を行ってきた公益財団法人日本ライフ協会が経営破たんしました。高齢者から預託金として集めた8億8千万円におよぶ資金の一部を流用し、4億8千万円の不足が生じたものです。最終的な負債総額は12億円に達し、平成28年2月、自主再建を断念し協会の解散を発表しました。その時点では、協会の事業を他の団体へ譲渡すると発表していました。ところが、平成28年3月、事業譲渡先の団体が一転して事業譲渡契約の解除を発表。身元保証契約の引き受け手がなくなってしまったのです。
 破たんした日本ライフ協会と身元保証契約を結んでいた会員は2,600人に達していました。会員は協会の管財人に預託金全額の返還を求めましたが、約4割のお金しか返金されないことになりました。契約していた会員にとっては、大事なお金の約半分が戻ってこないばかりか、身元保証契約が打ち切られることで、新たに身元保証契約を他の事業者と結び直さなければ、賃貸住宅や高齢者施設等に住み続けられないリスクを抱えることになってしまいました。
 身元保証の事業を行う団体は、全国に100社程度あると見られています。多くの団体が一般社団法人、NPO法人などを名乗っており、団体の経営健全性について定期的にチェックすることは難しいのが実情です。今回の日本ライフ協会の経営破たんに見られるように、高齢者がトラブルに巻き込まれるケースは、今後もあり得るかもしれません。身元保証業者を選ぶ際には、慎重に検討し、入会するかどうかを判断すべきです。





■111-3 身元保証の法律
 ところで、身元保証人にはどのような責任が課せられるのでしょうか。高齢者の身元保証のほかにも、就職する際に、会社から身元保証人を求められることがあります。通常は家族や親戚、友人等に身元保証人をお願いすることが多いですが、だれにもお願いできないときなどには、身元保証代行サービスを利用することになります。
 身元保証をしてあげた人が会社で問題を起こして損害が発生した場合、身元保証人はその損害を賠償する責任はあるでしょうか。
 身元保証には「身元保証に関する法律」という法律があり、身元保証人はこの法律で守られています。一般に、身元保証には、当事者たる本人の出身や経歴などについて間違いがないことを証明するだけのものから、当事者たる本人の行為で損害が発生した場合は賠償することを約束することまで含めるものまで幅広くあります。したがって、身元保証を安易に引き受けるのは危険です。
 身元保証人の責任の期限は、法律で期間5年(期間の定めがなければ3年)と定められています。また、身元保証人が損害賠償しなければならないケースでも、身元保証人になったときの事情や損害が発生したときの監督者の管理の仕方などさまざまな観点から総合的に判断されるため、身元保証人に自動的に損害賠償のすべてが降りかかるわけではありません。
 このように、一口に身元保証人といっても、ケースバイケースで責任の重さは大きく異なります。その都度、身元保証人がどれだけの責任を負うのかを確認したうえで、契約を結ぶことをおすすめします。





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