葬儀相談コラム


第110回 飼い主亡きあとのペットのこと



飼い主亡きあとのペット ■110-1 全国で飼われている犬猫数はざっと2,000万頭
 今回は、飼い主が亡くなったあとのペットの面倒をどうみていくかについてお伝えしたいと思います。
 まずは、飼い犬飼い猫の状況について確認してみます。2015年10月現在、全国における犬の飼育頭数は約991.7万頭、猫の飼育頭数は約987.1万頭。合わせてざっと2,000万頭の犬猫が飼われています。この数は、栃木県や岐阜県のまるごとの人口に匹敵する数です。ちなみに、種類別に頭数上位を見ると、犬は、雑種、ミニチュア・ダックスフンド、トイ・プードル、柴犬、チワワ。猫は、圧倒的に雑種が多く、わずかの数でアメリカンショートヘアー、スコティッシュフォールドと続きます。平均寿命は犬が14.85歳、猫が15.75歳。飼い主の人間と同様に、犬猫の平均寿命も延びているのだそうです。
 50歳代から70歳代の飼い主たちのペットに対する考えを拾ってみましょう。「生活に潤いや安らぎを実感できるようになった」「孤独を感じなくなった」「健康的になった」「夫婦の会話が多くなった」など、飼育の効用がみられます。一方、飼育疎外の要因としては、「十分に世話ができない」「死ぬとかわいそう」「別れがつらい」「以前のペットを亡くしたショックが癒えていない」などの声も聞かれます。
 多くのご家庭で飼われているペットたち。現在、単身の高齢者が亡くなった後、ペットの面倒をどうみていくかが深刻な問題になっています。





■110-2 動物の愛護及び管理に関する法律
 みなさん、ペットを飼うことについて、法律があることをご存じでしょうか。「動物の愛護及び管理に関する法律」、略して動物愛護管理法と呼ばれます。
 動物愛護管理法は「動物の虐待防止、動物の適正な取扱い、その他動物の愛護に関する事項を定めて、動物愛護の気風を招き、生命尊重など情操心を養い育てること」を目的にしています。
 動物愛護管理法では、愛護動物として「牛、馬、豚、めん羊、やぎ、犬、ねこ、いえうさぎ、鶏、いえばと、あひる」を指定しています。犬や猫は、法律で守られた動物と言えるでしょう。愛護動物を虐待したり、命を奪ったりすると、2年以下の懲役または200万円以下の罰金に処されます。虐待も罪になります。エサや水を与えずに衰弱させてしまうと、100万円以下の罰金に処せられます。犬や猫だからといって放置してはいけません。飼い主または飼い主から引き継いだ人は、責任をもって愛護しなければならないのです。
 飼い犬や飼い猫は、終生飼育が原則です。飼い犬飼い猫を捨てたり、引っ越しの時に置いていったりすることは禁止されています。愛護動物を遺棄すると、100万円以下の罰金に処せられます。
 飼い主が亡くなったとき飼い犬や飼い猫はどうするか。まずは飼い続けられるよう再検討しなければなりません。それでもやむをえない場合は新しい飼い主を見つける努力が必要です。親類や知人に頼むほか、広く里親募集をする方法なども検討してみましょう。どうしても見つけられないときは自治体の動物愛護相談センターや保健所に相談しましょう。
 大変ショッキングなデータを紹介します。環境省自然環境局総務課動物愛護管理室によると、平成26年度、保健所に引き取られた犬猫の頭数は15万1,095頭に及びました。そして、残念ながらそのうちの10万1,338頭が殺処分されています。可愛がっていた命あるペットたちをやむなく保健所に引き渡すのは、とても悲しいことです。故人の想いにもかなわないのは当然のことです。飼い主がいなくなった後も、ペットたちが別の飼い主のもと生きていく道を、生前のうちから準備しておきたいものです。





■110-3 ペットに関する信託
 飼い主亡き後のペットの問題を解決する方法として、「ペットに関する信託」という契約が注目されてきました。これは、信託契約を結んで、財産とペットを信頼できる方(受託者)に託し、契約の発効のときから、毎月決まった額の財産を新しい飼い主に渡してもらい、きちんと飼育されているかどうかを信託監督人が監督することができるものです。
 新しい飼い主が見つからないときには、ボランティアの愛護団体にペットの飼育を依頼し、そこから新しい飼い主を探してもらうことも可能です。また、老犬・老猫を預かるホームに飼育を依頼することも可能です。
 専門的な制度ですので、興味のある方は、司法書士または行政書士などの専門家に相談してみてください。





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