葬儀相談コラム


第108回 火葬場最新事情



火葬場最新事情 ■108-1 不足する火葬施設
 吉凶判断の基となる六曜のひとつ、「友引(ともびき)」の日は、俗に「友を引く」としてお葬式を行うことを忌む日とされ、火葬場においても火葬を行うことはまれでした。ちなみに、葬儀や法事は「何事も遠慮する日、病めば長引く、仏事はよい」と言われる「仏滅(ぶつめつ)」に行うのがよいと言われています。
 ところが、最近は火葬場の不足があちこちで現実になっています。火葬まで1週間から10日程度、順番待ちとなる火葬場も珍しくありません。利用の多い火葬場では、それまでは休日としていた友引の日を開場する例も増えてきました。東京都内のある火葬施設では、友引の日の稼働率がそれ以外の日とほとんど変わらない水準まで上がっているそうです。友引の日以外にも、年末年始などに火葬を受け付ける施設も出始めています。また、自治体によっては、自治体市民の火葬申込みに優先枠を設けている例もあります。





■108-2 火葬申込みの手続き
 火葬の申込みは、一般的に、亡くなった人または葬儀を行う人が住んでいる自治体の窓口で行います。手続きはまず火葬日時を事前に予約し、その後、火葬許可を申請します。火葬の時間は午前数回、午後数回から選んで予約しますが、お昼前後の予約が混んでいて、朝、夕の予約が比較的空いています。申請時には、死亡診断書、届出人の印鑑(本人確認書類を含む)、亡くなった人の国民健康保険証、国民年金証書、火葬料を提出します。火葬の申込みは、葬儀業者経由でも個人でもどちらでも可能です。
 火葬できる日までの期間が長くなると、それだけご遺体の安置に気を配らなければなりません。通常はドライアイスで冷却します。このとき、ドライアイスを脱脂綿でくるまずに直接ご遺体に置いたりドライアイスの量が少なかったりすると、ご遺体の顔色が悪くなったりドライアイスの跡が残ったりして、ご遺族にとって不満が残ることがあります。ご遺体の安置については葬儀業者任せにせず、しっかり確認しておくとよいでしょう。
 なお、ご遺体を火葬場に移送する際は、葬儀業者に依頼して霊柩車を利用するのが一般的ですが、死亡診断書・火葬埋葬許可証を携行すれば、自家用車で移送することも可能です。




■108-3 火葬場の改装・新設
 火葬場の利用が増えるにしたがい、各自治体では1日当たりの稼働件数を上げて対処しています。一方、火葬場の利用増に加えて、設備が老朽化しているところでは、火葬場の新設に取り組んでいます。新設に当たっては、火葬炉の増設、葬家のプライバシーに配慮した告別室、見送りホール、収骨室などの個室化、家族葬など葬儀規模の縮小傾向に即した葬儀施設のコンパクト化、ペット火葬の需要に応えるための告別室、待合室を備えた動物炉の新設など、最近の利用者ニーズに応える設計が施されるケースが多くなっています。利用者数の急増に備えて、複数の自治体で共同して火葬場を運営する例も増えています。
 一方、火葬場の新設用地には近隣地域住民の理解が得られないといった問題もあります。「どうして他の自治体の人の火葬まで引き受けるのか」といった地域住民の感情もその背景にあるようです。また、火葬場から排出される毒性を持つとされるダイオキシン類が社会問題となる例もあり、自治体では削減対策指針を公表し、地域住民の理解を求めています。火葬炉設備には、煤煙、煤塵、臭気対策として再燃焼炉と、微粒化した煤塵を吸着させるバグフィルターを設置し、火葬炉主燃料は都市ガスでクリーンなエネルギーを採用している火葬場もあります。
 都心の火葬場に対して、地方の火葬場の利用が比較的空いているところもあります。そのような自治体では「火葬はふるさとで」といった火葬の誘致を行っている例もあります。
 終活に際しては、どこの火葬場をどの利用するのかも調べておくことも、おすすめします。




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