葬儀相談コラム


第1回 終活のすすめ



終活 ■1-1 終活ってなあに?

人生の締めくくりをいかに過ごすか、という「終活」がブームとなっています。自分の人生を自分らしく生きようとしてきた人にとって、人生の最期も自分らしくありたい、と願う気持ちが高まっているからです。

家族制度が崩壊し、「家」を中心とした考え方から「個人」を中心とした考え方に変化していることも、「終活」が注目を集める理由の一つです。そして、自分にもしものときのお葬式やお墓のことも例外ではありません。

最近のお葬式は、家としてのつきあいを中心とした大きな葬式より、亡くなられる人の家族を中心とした小さな葬式が多くなってきました。お墓を菩提寺の墓から宗教・宗派にとらわれない永代供養墓や樹木葬、納骨堂など後の管理が要らないお墓も増えています。

このような時代、お葬式やお墓について、生前に考える人が増えています。最期こそ幸せな人生の締めくくりとするためにメニューの一つと言えるでしょう。


■1-2 お葬式の9割は仏式です
お葬式をとり行うとき、私たちがお世話になるのが葬儀社です。葬儀社の人にまず聞かれることは、故人の宗教・宗派です。ところが、最近は、急に「故人の宗教は何ですか?」と聞かれて、宗教・宗派を覚えている人は少なくなりました。ご両親とお子様では宗教・宗派が異なるということも、よく見られるようになりました。

調査結果によると、お葬式をあげる人のうち約9割の人は、仏式だそうです(財団法人日本消費者協会第9回「葬儀についてのアンケート調査」)。仏式の場合で、先祖代々のお墓がお寺の境内にあるときや菩提寺があるときには、必ず菩提寺に連絡をして、菩提寺の作法で葬儀をしなければいけません。菩提寺が無い場合には、葬儀社に故人の宗派の僧侶を紹介してもらいますので、宗教・宗派を正しく伝えることが大切です。

日ごろから、自分や家族の宗教・宗派をエンディングノートなどに書きとどめておくと、いざというときに葬儀をスムーズに進めることができます。

■1-3 お葬式って何にお金がかかるの?
お葬式について一般の人が一番知りたいのは「葬儀の費用はどれくらいかかるのか?」だそうです。そこで、具体的な費用の前に、どんな種類の費用なのかを、ざっと確認しておきましょう。

葬儀の費用は「葬祭費用」「飲食費用」「寺院費用」の3つに分けて考えます。
「葬祭費用」はさらに3つに分けられます。「祭壇、棺、仏具一式、外回りの幕や看板、運営費」など葬儀会社に直接払う費用、「火葬料、車両代、式場代、返礼品」など葬儀会社が立て替える費用、「心づけ」などその他の費用です。

一般的に、「葬儀費用一式〇〇万円」と表示されますが、その内訳は葬儀社によりさまざまですので、見積書などで「葬祭費用」の内訳をしっかり確認しましょう。
「飲食費用」は、お通夜から精進明けまでの参列者の飲食の費用です。参列者数や地域の習慣によっても飲食費用のかけ方は変わります。最近は、「祭壇は小さくても、おいしいものを出したい」と、料理にこだわる人が増えているそうです。

「寺院費用」は、お寺へのお布施、神社への祭祀料など宗教にかかわる費用です。宗教や宗派、お寺や僧侶の格、寺と故人との関係、いただく戒名(法名)などによって寺院費用の金額は大きく異なってきます。


■1-4 お葬式の予算オーバーを食い止めよう
お葬式を依頼するときには、葬儀社から葬儀の説明を受けたうえで費用の見積もりを受け取ります。

7割以上の人が、その見積もり額とお葬式のあとの精算額はほぼ同じだそうですが、中には「お葬式の金額は、見積り額より高くついた」といった人もいるようです。大切な故人のおみおくりですから、できるだけ故人の想いに応えるお葬式をあげようとすると、どうしても葬儀費用がかさむ場合もあるかもしれませんね。

お葬式に限らず、冠婚葬祭は、参列者の人数によってかかる費用も大きくなります。お葬式に参列いただく人がどれくらいかを知っておくと、お葬式の費用の総額のイメージはつきます。

また、葬祭にかかる費用はリーズナブルなものから高価なものまでさまざまです。例えば、棺一つとってみても、約5万円から数百万円のものまであります。どれくらいのランクのプランでお葬式を行うかを事前に考えておくと、お葬式の総額を押さえることにつながります。目安としては、お葬式の予算の8割程度の見積もり額で計画しておくと、予算をオーバーしても、予算内におさめることができるはずです。

■1-5 「家族葬」なら安いって本当?
家族葬とは、家族や親しい知人のみで実施する葬儀のことで、いまや都市部の葬式の半数以上が家族葬、とも言われています。

家族葬は、参列者を家族や親しい知人に限定しますので、その分、お葬式かかる費用を低く抑えることができるのです。
ところが、家族葬だから出費が抑えられる、というわけではないことに注意が必要です。一口に家族葬と言っても、その内容はさまざまです。
お葬式の場所は自宅か式場か、祭壇は置くか置かないか、参列者をどの範囲に限定するか――などによって、葬儀費用は、50万円から150万円位まで、大きく差があります。

大きな式場を利用したり、凝った演出や華やかな祭壇を作ると、参列者の人数が少ない割に費用がかさんで、お葬式後の請求書を見て驚くケースもありますので、「家族葬」という文字に惑わされずに、費用の内訳をしっかり確認しましょう。


■1-6 家族葬のメリットとデメリット

家族や親しい知人のみで実施する家族葬。そのメリットとデメリットについてそれぞれ見ていきましょう。

◎家族葬のメリット
・弔問客への接待が少ないので疲れない。
・家族や親しい人だけでゆっくりとお別れができる。
・費用が安くできるケースもある。

×デメリットとその対応策
・訃報を知った近所の人が大勢参列して収集がつかなくなる。
<対応策>
自宅へ連れて帰らず、自宅から離れた式場で葬式を行うとよいでしょう。
・後で訃報を知った人が次々と弔問に来て困る。
<対応策>
後日、お別れ会を開催しましょう。
・家族葬に慣れていない親族などから「みすぼらしい葬式」などの苦情がでる。
<対応策>
・家族葬を希望する旨を文書に残して、親族にお見せすると、「故人の希望なら」と納得してもらえることもあります。

なお、近年、急速に普及してきた家族葬ですが、葬式は後継者のお披露目の場所になるので、事業をしている人にはお勧めできないかもしれません。

執筆:河原正子(CFP認定者)

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